ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ150→→→15:騎士の誇りを打ち砕け!(命令形):(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



夜通し馬を走らせ、朝日が昇ると、辺りの眺めは一変していた。
ソマーランド出発から10日目の朝。
足下の荒野は沼地となり、東の地平線上に見渡す限り暗い影が広がっている。
ワイルドランドと緑の王国の境界線、ドゥレナーの深い森だ。
この豊かな森を前に一旦馬を降り、休息する。
カイの狩猟術をもってすれば、野兎や果実を手に入れることは容易だった。
1時間後、気力もあらたに馬を駆り、分かれ道を左へ向かう。
やがて道は深い茂みに変わり、完全に道が途絶えたが、苦労しつつも馬を操り、進み続ける。
森の奥には、煙のたなびく監視塔があった。
カイの追跡術によると、どのみちこの先の森は馬では進めないらしい。
ともかく下草が刈り取られた広場まで辿り着き、そこで馬から降りた。カイの動物語で話しかけ、元の方向へと逃がしてやる。
監視塔の鉄扉は固く施錠されていた。
鍵をがちゃつかせていると扉が開き、抜き身の剣を構えたホワイトマウンテンの騎士が現れた。
「何者だ!何をしに来た!素性と目的をはっきり言え!ただし嘘をつけば、この剣が返答するぞ!」
「おお、流石は騎士道の国。昨今希に見る頑迷固陋さ加減だぜ」
「頑迷固陋とは何事か!ドゥレナーの騎士を愚弄するか貴様ァァ!」
しまった。思ったことがそのまま出ていた。
徹馬(【てつ−ば】(名) 造語。徹夜で馬を駆ること。類義語に徹満、徹カラなど)だったせいか、俺も疲れているのだ。
それより任務が最優先だ。精一杯厳めしい表情と声音で言い放つ。
「俺はローン・ウルフ。ウルナー王の命によりソマースウォードの返還を願うため派遣されたカイ戦士だ。パックス港への道をうかがいたい」
「なっ、なにィィ!?ならばハマーダルの紋章 を持っているはずだァァ!」
「……ああ、これのことか?」
ずいっと彼の眼前にハマーダルの紋章 を突きつけてやる。
「こっ、これはァァ!!なんとおうッフゥゥ!!」
黄門様の印籠どころの効き目じゃあない。きっと彼視点では指輪がペカリと後光を放っているのだろう。
白目を剥いて悶絶するさまが見ていて楽しい。きっと人里離れて寂しいんだろうなあ、彼も。
言うなれば辺境のリアクション王だ。
「しっ、失礼致しましたァァ!!お入りくださいカイ戦士、ご説明させて頂きますッ」
「うん、ありがとう……もっと気を楽にしていいよ」
ちょっと可哀想になりながら彼を許してやり、監視塔に招き入れられた。

(つづく)