1-01-01から1年間の記事一覧

本文より

「血族殺し、許婚殺しよ。おまえが、みずからの非道に、嫌悪以外の何を感じられるというのか」ゲイナーは、吸血剣でたわむれたときと同様、今度は言葉で突きを入れてきた。白子の技に対する不安をあおり、生きる意志をくじくためだった。 「わたしが殺した罪…

あらすじ

「タネローンの平安な日々に飽いて再び流浪の旅に出たエルリックの前に、父サドリックの亡霊が現れた。 父は、おのれの魂を納めた薔薇模様の小箱を失い、それゆえいまだにこの世に繋ぎとめられているという。 父から小箱探しを命じられたエルリックは、詩人…

薔薇の復讐(ISBN:4150110409)

本文より

「アリオッチ!アリオッチ!死と魂を!」 異様な光を放つ剣をふるい、真紅の目を瞋恚の炎に燃やす、地獄からあらわれいでた白面の悪魔のことをひとびとは語り伝えるであろう。この世を越えたものの力に憑かれ、みずから血祭りにあげたものと等しくその力に蹂…

あらすじ

「皇位継承者でありながら、故国メルニボネを捨て、皇子エルリックがいまだ諸国をさまよう身であったころ・・・・・。 かれは砂漠の町クォルツァザートで〈世界の心臓にある真珠〉を探す羽目に陥った。 〈夢盗人〉の力を借りて、エルリックは〈真珠〉がある…

真珠の砦(ISBN:4150108838)

本文より

・・・かれは血に渇いた魔剣をひきぬこうとしたが、むりだった。そして、いままで剣からうけとったどのようなおののきともちがって、こんどの感触はほとんどやさしく、あたたかく、よろこばしく、妻の魂がかれの中に流れこんできて、かれは涙した。 「ああ、…

ストームブリンガー(ISBN:4150106266)

「最愛の妻ザロジニアを、〈混沌〉の怪物に拉致されたエルリックは、一度は捨てた魔剣ストームブリンガーを手に探索の旅に出た。そのころ、〈新王国〉はパン・タンとダリジョールの連合軍対ジャーコル、ターケシュの諸国との間で、戦端が開かれようとしてい…

本文より

セレブ・カーナは、風の精霊を操る者には、恐怖を源とする崇敬の念を抱いていた。風の精霊を操れるものはまれだ・・・そしてそれこそは、エルリックとその祖先のみの握っていた秘術のひとつなのだ。ここにいたって、セレブ・カーナは己の敵が何者かを悟った…

黒き剣の呪い(ISBN:4150106118)

「商都バクシャーン一裕福な商人ニコーンを亡き者にする計画に、エルリックも加わった。 ニコーンには何の恨みもないが、ニコーンを護る魔術師セレブ・カーナはエルリックの仇敵。 かれは、いまは傭兵にまで身を落とした、メルニボネ帝国の生残者と手を結ん…

本文より

・・・鞘から甲高い声をあげる魔剣を引き抜き、無感覚な空に高々とふりかざし、馬をはねあがらせた。蹄が宙を掻くと、幾度も幾度も、苦い怒りとみじめさのかぎりの声をふりしぼって叫んだ。 「ああ、呪われよ!呪われよ!呪われよ!」 だがそれを聞いたもの…

あらすじ

「宿敵セレブ・カーナを追い求めて、ロルミールの首都イオサズへと急ぐエルリックとムーングラム。 ロルミールの山岳地帯に入ったかれらを、奇怪なキマイラの集団が襲った。 竜から白鳥、翼ある鯨から蛸へと変幻自在に姿を変えるキマイラの攻撃に、さしもの…

暁の女王マイシェラ(ISBN:4150106061)

本文より

・・・それから、真黒な真実が、ゆっくりと形をなしてきた。エルリックは獣のように悲痛な呻きを上げた。かれは愛する娘を殺してしまったのだ。サイモリルの血を吸った魔剣が、その手を離れ、高い音をたてて階段を落ちていった。すすり泣きながら、エルリッ…

あらすじ

「従弟イイルクーンにメルニボネの玉座を奪われたエルリックは、沿岸諸国の艦隊を率いて、一路竜の島へと向かった。 首都イムルイルに通じる魔の迷水路も、エルリックの知識を持ってすれば、無事に抜けられる。 艦隊を内港にまで導いたかれは、イムルイル攻…

白き狼の宿命(ISBN:4150105952)

本文より

・・・そのときアリオッチならぬ者の声がエルリックの耳に響いた。剣それ自体の声のように思われた。 「エルリック・・・アリオッチには血と魂を捧げねばならぬ。血と魂を」 「だめだ。これはわたしの友人たちだし、オラブにはストームブリンガーは効かぬ。…

この世の彼方の海(ISBN:4150105898)

「故国メルニボネを離れ、新天地を求めて旅立った皇子エルリック。 だが、ピカレイドの総督にメルニボネの間諜ではないかと疑われ、海岸にまで追いつめられてしまった。 海を渡るすべもない。 もはやこれまでと、最期を悟ったエルリックの目の前に、霧の中か…

本文より

・・・イイルクーンがエルリックを呪おうとしてにすがったときも、呼ばれたのはアリオッチだった。イイルクーンがルビーの玉座への大望を抱いて助けを求めようとしたときも、その相手の名はアリオッチだった。として知られるのもアリオッチだ。黒の剣・・・…

概要

エルリックが<ルビーの玉座>の428代目の皇帝となった1年足らずのうちに、野心家の従弟イイルクーンの陰謀が、エルリックをそのくらい宿命の発端にどのようにして投げ入れたかが描かれています。 エルリックは混沌の神々の一柱にして何世紀もこの世に姿…

あらすじ

「かつては〈光の帝国〉と称えられ、全人類をその支配下に置いたメルニボネ帝国も、今や見るかげもなく衰えはてていた。 首都イムルイルで退廃的な乱痴気騒ぎに興じる人々の群れ。 この衰運の帝国を統べるルビーの玉座の持主こそ、乳白色の髪に真紅の瞳の皇…

プロローグ

これは、エルリックが“従妹殺し”の異名をとり、メルニボネの崩壊がおこる以前の物語である。これは、エルリックと従弟イイルクーンとの対立の物語であり、従妹サイモリルとの愛の物語でもある。やがて、その対立と愛はの侵略を招き、イムルイルを炎の中へと…

メルニボネの皇子(ISBN:4150105871)