ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ265→→→31:特攻の狼:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



石畳を敷きつめた港の通りはやがて行き止まりになっていた。
右手には港湾事務局、正面には高い石壁と大きな赤い門。
歩哨がいること、門の向こうに船の帆がはためくことから、目指す領事館はこの奥のようだ。
門へ向かったが、許可証が必要だと言われ引き返す。
そこに洟垂れ小僧が訳知り顔でやってきた。呼びもしねーのにジャストなタイミングだ…。
「港に入れてあげてもいいよ。ただし 金貨6枚 くれたらね」
!?
なんだこの“コゾー”は?(ビキビキッ) 
思わず少年マガジン風に上等キリ飛ばしてしまう。
「これを見せれば港湾監視塔に入る赤い通行証が手に入るんだ。ほらほら、お代を払う、払わな……」
「“上等”かァ!?あんまりチョーシくれてっと“バラ肉”にしちゃうよ?ボクゥ?」(ビキビキビキッ)
メンチビーム一閃。
思いきり泣かして追っ払った。
アホにもほどがある。ハマーダルの紋章 を持ってる俺がなんでそんな胡散臭い書類を“コゾー”から買うというのか。




市役所まで戻って訊ねるのも面倒なので右手の港湾事務局に入る。
ホールに人影はなく、2つのドアに「赤い道」「白い道」の表示がある。赤い門なら「赤い道」だろうと中へ。
広い室内には元帳や書類が溢れ、いかにも堅物そうなドゥレナー海軍の士官が机で本を読んでいた。
またなんかこいつもナニでアレな匂いがするな(今度はしっかり口チャック)。
「こんな遅くに、海軍基地に急ぎの用とはな。許可証と、君の上官の委任状を見せてもらおう」
やれやれ。首をふり、士官の前に進み出る。
「さあ、どうした。見せたまえ」
「“喋らねー”でくれますか?俺の前でよ…“息”が臭ェーからよ…」(ギリリッ)
士官の眼前にハマーダルの紋章 の紋章を突きつけ、おもむろに言いわたす。
「そこのコゾーちょっと“隊長”呼んでこい!!ソマーランドから“カイ戦士”の“ローン・ウルフ”さんがお見えになりましたってよ?」
「な、なんと」
「オウ!!“通行証”持って来い!!“通行証”ゥ!」
「承知した、ただちに手配しよう……おい、監視塔の隊長を呼べ!最優先でこのお方に赤い通行証を発行するんだ!!」
港湾局は一時騒然となった。



赤い門をくぐり、歩哨の敬礼を背に受けて歩き出す。
波止場に並ぶ背の高い篝火の向こうに、新鮮な夜風にたなびく見慣れた国旗を見つけて、ようやく一安心する。
大理石でできたソマーランド領事館に入っていくと、すぐに衛兵が気づき、上官を伴ってやってきた。
「信じられない! 生きていらしたとは、カイ戦士!」
おそらく『グリーン・セプター号』沈没の報が、彼らを不安にさせていたのだろう。
無事を喜ぶ長身の士官に連れられ、ソマーランド外交官、ライガー総督のもとへ向かう。

(つづく)