ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

本書見返し 煽り文もいい

【パラグラフ244→→→265:パックス港誤植旅情篇:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



森を抜け、やがて出たライムリフト河に沿って北へ進む。
この静謐なる大河は、水深1600メートルもの深さを湛えているという。
どうにも誤植っぽいが、本文にはこう書かれているのだから事実なのだろう――どうやって測ったのかについては考えない方向で。
下草をかきわけ、再び森を進むと言われたとおり橋がかかっていた。
橋の中央に小屋があり、屋根の上には二人の兵士がいる。
これもまた誤植っぽいが、いかんせん本文にはこう書いているのだ。大体屋根の上ってなんだよ!上條恒彦かよ!
橋を渡りだすと、兵士たちは素早く屋根から下りてきて ――これも本文ママ。どこのレンジャー部隊だ――槍をつかみ、鋭く誰何する。
「合言葉は?」
教わったとおり答えると、彼らはしぶしぶ通してくれたが、こちらを睨んではヒソヒソ話をしている。
俺の経験から判断するに、監視塔の騎士といい、ギャノン兄弟といい、ドゥレナーの騎士はひどくアレでナニだ。
関わり合いにならない方が賢明だろう。
可及的速やかにその場を離れ、俺は森の中を突き進んだ。
小一時間ぐらい歩いただろうか。辿り着いた分かれ道には、『東 パックス港まで5キロ』の文字。
思わず微笑み、歩き続ける。あと1時間でパックス港に着くのだ。



森をくぐり抜けた俺は、しばし言葉もなく、闇にたゆたうドゥレナー湾とパックス港の街並みを見下ろしていた。
さながら敷きつめられた緑の天鵞絨に載せた金剛石。
白亜の塔は満月の輝きに影を落として聳え立ち、港にはドゥレナー海軍の麗々しく飾られた軍艦がずらりと停泊している。東に目を向ければ苔むした城壁と一面のドゥレナーの森。
そして丘の頂上には、港都パックスの無上の誇りとされる、豪壮かつ堅固な城塞が月影に彩られているのだ。
衛兵のいない苔むした城門をくぐり、暗い並木道を通って街の中心部へ。
カイの追跡術はソマーランド領事館の位置を思いださせてくれた。真っ直ぐに港へと向かう。

(つづく)