ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ6→→→パラグラフ120:拷問都市:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。




トーガール城塞。
戦略上の位置づけはラストランド諸国にとってのホルムガードに等しい。
過去2000年、一度も破られたことのない不落の要塞。
トーガールは重要な戦略拠点にして、悪の源泉であり、闇の実験場でもあった。
ためについた名が『拷問都市』。
―― 自由国家に広く知られた忌み名の一つだ。
ダークロードに拉致された者の多くが、ここで奴隷労働に従事する。
生きて帰る者はない。
運よく命ながらえた者は、暗黒の魔術の贄にされ、あるいは兵士の訓練台に使われる。
不毛の地ガタンへのルートを守る要塞都市。
威容をたたえる城壁は、幾世紀にわたり激流に削られた千尋の大峡谷ぎりぎりにそびえたつ。
暗い深峡にかかる天然の石の橋が唯一の経路なのだ。
だが今、人を寄せつけぬ要塞へつづく大石橋には、兵士たちが群がっていた。
タレストリアとパルミリオンの軍隊による包囲網だ。
将校は馬に拍車をかけ、高台に敷設されたテントへ俺を導いた。
彼に促され、もっとも大きな幕営に入っていく。



  これまでにタレストリアを訪問したことがあるなら、45へ。
  訪問したことがなければ、346へ。


この質問は、もしや……?
テント内では戦略会議の真っ最中だった。
将校たちを束ねる最高指揮官は、背を向けて地形図を熱心に調べていたが、すぐに顔を振り向ける。
……厳めしく整った容貌には見覚えがあった。
「神よ!君はダナーグに消えたのだと思っていたぞ、ローン・ウルフ!!」
「久しいな、アダマス卿!」
オライドのロアストーン探索時、ガーセンで親交を結んだ王室保安長官、アダマスが満面の笑みを浮かべていた。
「いったいどうしたのだ、それにその格好は!?」
「うむ。ともかくだな……」
しばしのち。
あらためて斥候兵ロルフとして紹介を受け、アダマス卿とともに隣接する木の監視塔へのぼった。
「ここなら人払いもいらないだろう」
「それは有難い」
潜入任務のあらましを語り聞かせると、アダマス卿は鋭い目を細めて思索にふけった。やがてニヤリと笑う。
「我々は同じ運命の別々の一端を担っているらしい。不思議なものだな」
アダマス卿の話は興味深いものだった。
ボア・タレストリア・パルミリオン連合軍を率い、オジアの首都ザナールを陥落させたのがアダマス卿だ。
最大の課題は、トーガールの攻略だった。
タレストリアの国土は戦争初期に蹂躙され、数千の民が奴隷としてこの要塞都市に収容されたのだ。
彼らの解放という誓約を立てたアダマス卿は、ひたすら北をめざした。
離脱させたボア軍にブラックシュラウド道を進撃させ、本隊はアグナ・コア・クジム―― 『奴隷の道』―― を突き進んだのだ。
ズテズナの荒地付近では、2柱のダークロードみずからが率いるジャーク軍と激突した。
「剣の海王」クラーゲンスカルと「炎蜘蛛」クランゾール―― 半神に率いられた両軍をも撃破し、クラグマントルまで追い返している。
「しかし損失もまた計り知れなかった。援軍を頼むには故国タレストリアは遠すぎる。しかも敵はすでにタノズとモズゴールで軍を再編成中だ」
「いまは一秒でも惜しいといったところか」
「そこで君の登場だ。半神どもに匹敵するカイ・マスターの戦力が欲しい」
アダマス卿もまた、容易ならざるジレンマに直面していたのだ。
「あの鉄の門扉を破る手段ならある」
断固とした顔つきで壮大な城門を見つめ、アダマス卿が言い放つ。
「古マギの与えてくれた叡智の結晶だ。あとは、突入にたる戦力の確保のみ……」
鋭い視線が俺を射抜いた。
「それもたった今、揃ったようだ、ローン・ウルフ、貴卿の助力を得て」


「うむ、間違いない」
アダマス卿の真摯な視線を受け止め、俺もまた、狼の獰悪な笑みをこぼした。
「一点だけ、条件つきで力を貸そう。惜しみなく」
「して、その条件とは?」


「武器を貸してくれ。なんでもいいから、今すぐ」
俺は丸腰なんだぜ?
見て分かれよアダマス……このボケナスが!!



通過パラグラフ:(6)→45→127→120   治癒術の効果:+3点   現在の体力点:34点
(つづく)