ローンウルフを取りまく世界:設定・システム編

最後のカイ戦士の物語



ローンウルフのシリーズは、かつて英国で年間最優秀ゲームブックに選ばれました。
本国ではすでに28巻、日本では8巻までが発売されています。
(より詳しくは「沈黙の森の狼」さまへどうぞ)
http://www.geocities.co.jp/Bookend/5965/
とりあえず、朕も読み返すのは久々なので、物語のおさらいから入りましょう。


カイ戦士、それは、擬装術、狩猟術をはじめ、精神防御、念力移動などのカイ戦闘術を身につけたソマーランド最高の戦士だ。
君はその最後の生き残り「ローン・ウルフ」として巨大な悪に立ち向かう!
(1巻・中表紙の解説より)

この世界マグナマンドでは、悪鬼・不死者を束ねる悪の軍勢ダークロードと、かつて彼らを打ち破ったカイ戦士率いるソマーランドが対立しています。主人公サイレント・ウルフは、ダークロードとの国境に近いカイ修道院で鍛錬にはげむ若き見習い戦士(イニシエート)でした…フェーマーンの祝祭の日までは。
国中のカイ戦士が集まる祝賀祭のその朝、突如ダークロードの総攻撃がはじまったのです。
たまたまその日、授業をさぼった罰で薪拾いに出ていた彼は異変に気づいて戻りますが、つまづいた拍子に木の枝に頭をぶつけて意識を失い、目覚めた時には修道院は壊滅しています。
今や、彼こそが虐殺されたカイ戦士唯一の生き残り。
カイ修道院の壊滅とダークロード襲撃を王に告げる使命を負った彼こそが、最後のカイ戦士、ローン・ウルフなのです……



とまぁ、どえらく昏い、そして燃えるプロローグから始まる、最後のカイ戦士の物語。
戦闘力点と体力点を使って敵を倒しつつ目的を果たす、というのはゲームブック共通ですが、このシリーズ最大の特徴は2つ。
カイ戦士として身につける5つの教えと、『戦闘比』という概念です。






1.カイの教え
カイの教えとは、中表紙にも書かれた、高度で特殊なカイ戦闘術のこと。
闘いの場面だけでなく回復から奇襲・ワナの回避とその能力は多岐にわたり、このうち5つをどう選択するかで生き延びる確率が変わります。
ちょいと煩雑ですが、簡単に10の教えとその中身を紹介。



擬装術 :周囲に溶け込み、身を隠す術。人ごみにまぎれたり、山肌に溶け込んで敵の目をあざむく。 

狩猟術 :荒野で食料を見つけだす術。また、獲物を待ち伏せし、奇襲をかけるときにも役立つ。

第六感 :身に迫る危険や見知らぬものの真意を感じとる。

追跡術 :正しい道を選びとり、また、人や物の正確な位置をつきとめることができる。

回復術 :消耗した体力点を取りもどす(1パラグラフにつき1点)。他人のケガも直せる。

武術  :自分の使いこなせる武器(全9種類のうち1つ)を手にしていれば、戦闘力点+2。

精神防御:悪意ある生き物からの精神攻撃をふせぐ。念撃と対になる能力。

念撃  :精神力で敵を攻撃する。戦闘中に+2点。不死者など、念撃のきかない相手もいる。

動物語 :何種類かの動物と話し、その心を読みとる術。

念力移動:精神統一して小さなモノを動かす術。例えば解錠などに応用できる。





2.戦闘比
戦闘比とは、【自分の戦闘力点】−【敵の戦闘力点】のこと。
敵の戦闘力が高ければ−2点なんてざらですし、逆に自分が強ければ+の数値になります。
おいおい戦闘方法は説明しますが、このシステムの怖さは、敵も自分も、戦闘力の上限(下限)が底なしであるという点。
たとえば有名なソーサリー4部作では敵より技術点が2点低いだけでかなり苦戦を強いられますが、ローンウルフの場合、


【ローンウルフ:戦闘力10点】−【ナーグのヘルガスト(強敵):戦闘力33点】=戦闘比−23点


この23点差でも、余裕でバトルが成立してしまうから恐ろしい。
乱数表(サイコロのようなもの)の数値が悪きゃ一撃死。けど最高のツキがあれば、これでも1ターン6点ぐらいはダメージを返せます。どんな敵相手でも(おそらく創生神とかを敵に回しても)戦闘がなりたつ。このシステムのせいで、巻が進むにつれ底なしのインフレが引き起こされていきます。
1巻で最初に出会う敵は戦闘力13点。
8巻で最初に出会う敵は戦闘力20点。

一巻につき、平 均 1 点 づ つ 敵 が 強 く な る (こっちの戦闘力は増えない)。

これがローンウルフの醍醐味です。
戦闘怖えー、バトルまじ怖ェェェー((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル

というわけで。
戦闘バランスがきつめなので、いかにカイの教えを使いこなし、無用な闘いを避けるかが生死を分かつことになります。
そうは言っても敵がいればついついバトってしまうのがプレイヤーのサガなわけですが。
復讐に燃えるローンウルフのキャラ的にも「探し出して、ぶっ殺死!」といった心境でしょう。
(つづく)