2止まった時の世界(ゲームブック)へ入門したいあなたへ

朕「2冊とも解析してみましたが、どうですか。ホビージャパンの新作ゲームブックは」
B「かなり良いと思う。古参読者・旧作に対するリスペクトもきちんと含んでいるし、なにより装丁がすばらしい」
朕「それはBOB先生言うところのエロンチャ*1という意味で?」
B「違うわ馬鹿ー!」


BOB先生いわく。
かつての読者、新しい読者のどちらもが、どんなジャンルの本か一目で分かる装丁が良いとのこと。
所詮、ゲームブックは80年代中期の、5年足らずで終わったブーム。
現在のフォロワーはもはやごく少数です。
さらに版権の都合か、タイトルが旧作と違うため、昔のファンをすらとりこぼす可能性も大きい。
そのリスクを最小限に抑え、書店で手にとってもらう、興味をひいてもらうための当たり前の配慮が随所にあります。
たとえば帯の文言にもそうした工夫がみてとれます。


遊べるノベル
ゲームブック」を体験せよ

(さらに文字の右上に大きく『名作』『傑作』のメダルマーク入り)

B「まず『遊べる本』だと強調して、店頭で手に取ったクイーンズブレイドファンを取りこもうとしてるね」
朕「さらにゲームブックだと明記、旧作ファンにも気づいてもらう努力をしてるのか……」
B「丁寧に、背表紙にもゲームブックって表記されてるぜ」
朕「おお。これなら、平積みでも書棚に並んでいても、目が届く可能性が高まりますね」
B「それだけじゃない。裏表紙にはあらすじもきちんと書かれているから、気になって確認すればゲームブックだと一目で理解できるわけだ。仮にビニール包装されていても……な」
朕「……成程」


もちろん、裏表紙も帯も、他のホビージャパンラノベレーベルと同じ仕様だから、というのはあるでしょう。
しかしそれでも、分かりにくい、ニッチジャンルを売るための努力がここにはあるのです。
新しい読者を取り込もうとする努力。
昔の読者に気づいてもらうための努力。
ただコレクターズアイテムで、本棚に並べて終わりじゃなく、遊んでもらって、もっと次を求めてもらえるための努力。
そういった熱意のようなものを、より強く感じます。


B「もっと言えば、アキバblogやHJの自サイトで宣伝を打ったり、ネットでの広報だってかなりマメに行っている」
朕「金があるからだ……と切り捨てることもできるけど、Amazon中心に本を購入する人も多い昨今、その辺宣伝なんかはまさに重要だね」
B「正直、クイーンズブレイドほど売れないとは思う。でも、普及するための努力を自ら積極的に行うホビージャパンをみていると、応援したくなる……というのは、まあ、ファンの心情じゃね?」
朕「実際、うちも含めてゲームブック系の個人ブログで一通り取り上げられてもいるしねえ」
B「昨日も言ったけど、続編が出たら買いたいってのはその辺も含んでのこと。もっと新作を見てみたい、って気になる」
朕「旧作や、創土社の新作GBに手を伸ばす読者が増えるといいですね」
B「今はゲームブックの老舗まとめサイトが随所にあるからね。いろいろ見て回るのもアリかと」
朕「4年ほど前にゲームブックの偉い人リンクをまとめました。ご参考までに」


今回の萌えゲームブックの元祖、FFシリーズに興味をもったのならやってみよう 見てみよう!様のゲームブック大辞典なども参考になるはずです。
また、社会思想新社様では、33巻以降のFFシリーズを自主翻訳、研究されています。
こうしたサイトを見るにつけ、FFシリーズの人気を改めて実感せずにはいられません。

*1:エロスとやんちゃの融合。いずれにしてもロクでもない