新春ゲームブック論考・戦闘システムについて

B「ゲームブックの華と言えば戦闘だと思うウォーモンガーの俺様ですが」
朕「まず原点とも言える社会思想社のFFシリーズからですね」
B「技術点の±1の重さや、運点の用途など、本格ゲームブックの数多くがFFから出発していると思う」
朕「互いの戦力を比べ、ダイスを振って体力を削っていく基本システムですね。4位、次点にランク入りしている創元版『ドルアーガの塔』3部作もその発展系でしょう」
B「創元で出た『ファイヤーロードの砦』等は、ダメージを食らうと戦力も下がるリアルシステムだったな。本家FFでも中・後期はいろいろ模索していた。『サムライの剣』とか」
朕「ああ……『悪死』の旗で有名な」
B「違わー!二刀流や居合いでダメージ増やす追加ルールの話。他にも出目が12だとクリティカル(一撃死)とか」
朕「ランキングの次点にも入っている傑作『モンスター誕生』でもあったね」
B「FF内でも作品ごとの調整はあった訳だな」
朕「体力を削って勝つ基本概念は、そのまま他のゲームブックにも応用されています」
B「『炎の神殿』、『ドラゴンの目』などで知られるゴールデン・ドラゴン・ファンタジーの即決戦闘もその一つだ」
朕「ダイス振って『7以下なら3ダメージ食らう、8以上は敵に3ダメージ』というシステムです」
B「互いの戦力点を計算しなくていからスピーディで、ストーリーにも没頭しやすい」
朕「対多人数戦闘だと途端に悲惨な目に会った気が」
B「ダメージ食らう出目が極端に増えるからな。いかに1対1に持ち込むかの駆け引きも重要だった」
朕「実はブレナン先生のドラゴンファンタジーも同系列といえます。戦力点の概念がなく、ダイスを振った瞬間、ダメージ・被ダメージが算出されるという」
B「特に3作目『魔界の地下迷宮』はダンジョン探索だからな」
朕「創土社版はシリーズ名が変わって、グレイルクエストシリーズとして第2作まで発売中です」
B「ドラゴンファンタジーは、魔法使用時のバカでかいダメージなんかも魅力の一つだったと言える」
朕「戦闘時の、ダメージ量の大きな上下もカタルシスがあったね」
B「一撃ごとのダメージ固定系がFF、変動系がドラゴン・ファンタジーや、ローン・ウルフってことか」
朕「林友彦先生の『ネバーランドのリンゴ』や『ウルフヘッドの誕生』シリーズにも言及すべきでは?」
B「残機3機制というのはコンシューマー寄りの画期的システムだと思うが、追随する作品がなかったのが残念」


朕「一方で双葉社ケイブンシャに代表されるバトルポイント系も外せません」
B「あー。最初に10個のマスに0〜10の数字を入れといて、ダイス代わりに使うアレ」
朕「『リンクは戦力+Dで、敵は戦力+Eで戦う。負ければ○○へ』」
B「まあ負けるとTHE END、ギャンブル一発勝負ばかりだが……あの理不尽さが快感でしたアオオッー!!!」
朕「(無視)……即決戦闘の極みで、敗北時のフォローシステムを含めつつかなり発展しました」
B「ケイブンシャの『エアウルフ―東京極秘指令―』なんかミサイルのロックオンをバトルポイントで処理してたんだぜ」
朕「ロックオンマスを塗りつぶす奴だよね。あれはあれで楽しかったような」


B「富士見ドラゴンブックはどうよ?」
朕「もともとD&D系から始まったのもあってか、選択肢で戦闘を処理するものが多かったですね」
B「一つ一つの選択が重いんだよな。そこがまた魅力。一度しか使えない魔法とか」
朕「『魔法の王国』シリーズあたりは最強に好きですね」


B「JICCは富士見よりさらに簡潔なシステム構成が多いね。付属の栞でフラグチェックだけとか」
朕「『ゾーク1・2・3』なんかは元のテキストADVの魅力をよく継承していました」
B「『夢幻の心臓2』や『エンチャンター』も、戦闘そのものを選択肢に完全に置き換えて、そこがまた魅力的だったぜ」


朕「同人ゲームブックはどう?」
B「やはり古典のFF準拠ルールが多い。その中で、『翠緑ノ樹海を彷徨う者たち』はかなり独自性を打ち出している」
朕「『世界樹の迷宮ゲームブックですか」
B「一見コンシューマーの同人作品かと思えばさにあらず。パーティバトルとしてよく練られている。体力がパーティ共有なのは物語上やむを得ないが、マッピングしつつの探索や敵の強さ、仲間選択による展開の変化など、原作の特徴をうまくゲームブックに落とし込んだ出色の出来だな」
朕「ゲームブックをベースにしたと謳われるコンシューマーゲームが、逆にゲームブックで戻ってくる……感慨深いものがあります」
B「そろそろDSで続編も出るしな!」
朕「前作も、終盤にかけての怒涛の展開が実にアトラスチックでした」
B「メガテンマニアは要チェックやでェェェェェェ!!!(ミナミの帝王ッ面で)……ところで何の話をしてたっけ」