ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ96→→→パラグラフ31:瘴気(ミアズマ)の回廊:(死亡・5)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


薄暗いバガ・ダルーズを進んでいく。
水面は緑や黒の入り混じった汚物や泡に覆われ、毒蛇の斑紋色さながらだ。
腰まで汚水に浸かり、粘性のある泥濘を押し退けるように進む。
歩みにつれて泥濘の表面の膜が次々に破れ、溜まっていた腐臭が発生するため、カイ・マントで呼吸器官を保護する。
それすら気休めにしかならない。
突如、派手な水音が背後であがる。
マオウクの手下が着水したらしい。急がなくてはならないようだ。
その時、水底で何かが脚にしがみついた。
慌てふためき、汚水に闇雲に剣を突っ込み、やっと脚を引き抜いた。
下水道を住処とする生物かと武器に絡んだそれを見るが、人間の肋骨だった。
笑う気分になれず、それを後方へと放り投げる。
下水道はじきに二手に分かれた。
新たに西へ向かう下水道と、そのまま南へ向かう下水道だ。
背後から大きくなる水音に急き立てられ、さらに南下していく。



一歩一歩が苦行と化していた。
信じ難いことだが、これまでの道程が上水道だったと言われても俺は信じただろう。
悪臭も急激に強くなり、腐敗し粘性すら帯びた瘴気のカーテンを掻き分けて進む。
無数の小さな蝿が呼吸器に侵入しようと、執拗にまとわりついてくる。
蝿の大群は幾つもの黒い円柱となり、さながら瘴気の回廊の一部と化していた。
体力点を1点失う。
ようやく神が祈りを聞き届けたか、暗闇から鉄の梯子が現れた。
壁に固定された梯子が、天井の円形の落とし戸に通じている。
梯子を登りはじめたその時、背後に2人のシャーナジムが現れた。

(つづく)