ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

寺院跡

【パラグラフ258→→→パラグラフ142:運命の峡谷:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ここはやはり苦労して手に入れためのうのメダル の出番だろう。



大胆な作戦を思いつき、めのうのメダル を首から下げ、大股に歩いていく。
井戸端会議に夢中だったバサゴニア兵は俺の登場に吃驚仰天した。
すかさず一喝。
「バッカも〜ん!貴様ら歩哨の任務はどうしたァァ!!」
「はっ!た、只今巡回中でありますッッ!」
「ウソをつくなァァ!気を抜いているようならバラカ様に報告するぞ。しゃきっとせんかァァ!!」
めのうのメダル を目にした途端硬直する山賊たち。
やはりこのメダルはバラカ直属の指揮官の証らしい。
竦み上がって直立不動のバサゴニア兵たち。
ここぞとばかり銭形警部っぽく畳み掛ける。
「先程森で不審な人影を見たと報告があった。お前ら、ただちに森に向かい警備を強化しろ!」
「はっ、了解いたしましたッッ!!」
命令を下しておいて、万が一に備え俺は南へと早足で進んだ。
「今ここに俺がこなかったか?」「ばっかも〜ン!そいつが侵入者だ、追えー!!」
アホ面で走っていくバサゴニア兵に聞かれぬよう台詞の続きを小声で呟く。
……楽な旅で助かるぜ。



オレンジの木で作った家や石壁の村を通り抜け、森に覆われた尾根へ続く台地を登っていく。
尾根を越え、深い森に湧く清水の辺で食事を取った。
狩猟術で野兎もいいが、こうして携帯食を喰うのも乙な物だ。
何より手間いらずで良い。



夜になり、マッケンの廃墟へと着いた。
崩れ去った街を月が照らしだす光景はまさに巨大な墓場だ。
風とともに死者の噎び泣きが吹き抜けていく。
これこそが運命の峡谷の名の由来、マッケンゴーグの叫びだ。
二日近い強行軍に疲れが押し寄せる。
生贄の儀式は明日の夜。
カイ・マントを肩にかけ、待ち受ける戦いに備えて眠りにつく。
夜が明けたとき、廃墟の街は霧雨の屍衣に包まれていた。
いよいよ最後の戦いが始まろうとしている。

(つづく)