ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ239→→→パラグラフ345:『運命殺し』バラカ:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「実は、奴らは只の山賊ではなく、私設軍隊なのです」
「!!」
……いきなり核心かよ。
何度も山賊とやりあったのなら、黒幕までは知らずとも何か情報を掴んでいるだろう……その程度で気軽に尋ねたのだが。
思わずカウンターから身を乗りだす。
「彼らの首領は、バサゴニアからやってきたバラカという裏切り者の貴族。仲間から『運命殺し』と呼ばれています」
「バサゴニアだって!?」
「最初、襲撃は一度きりだと思っていました。ルアノンとエシュナーの鉱物資源を結ぶ要所とはいえ、このあたりは貧しい地方ですから」
「…………」
「しかし、『運命殺し』とその手下は居座りました。どんな犠牲を払ってでも我々を殺そうとするかのように」
「『運命殺し』……バサゴニアの貴族、バラカ」
舌先でその名を転がす。
何とも嫌な響きだ。
二つ名からして、いかなる運命を殺すというのか。
バサゴニア帝国の少なくとも一勢力が背後についているのなら、相当厄介だ……



例によって食料は持っていないし、無論隊員も酒場の主人も分けてくれなかった。
仕方なく狩猟術を駆使して天井裏の小動物を捕らえる。
食後2時間ばかりの浅い眠りを、警鐘の音と主人の叫びが破った。
「山賊だ!厩舎に入って行ったぞ!」
拙い展開だ。
このままではまた馬を奪われてしまう。
玄関から出て回り込むか、二階の窓から厩舎の屋根に飛び降りるか。
正面から行くのは自殺行為。
隊員を率いて二階へ駆けあがり、豪雨の叩きつけるバルコニーに身をかがめる。
大気を引き裂いて走った稲妻が忍びこむ賊を照らしだした。
合図と同時に厩舎へダイヴ―― 脆い屋根を突き破り、俺は劇的な登場を果たした。
「うォォッ!?」
尻から干草の山に埋まった俺の出現に驚き、ついで笑いだす山賊共。
「なんじゃあこのガキィィ!?」
「グヘヘ…大方死にに来たんだろうぜ。そのまま埋まっていろや。引導渡してやるぜ」
嘲笑った一人が大きく剣を振りかざす。
「山賊風情がムカつかせてくれる……てめーは俺が今思いついた『しゃがみ真拳・改(適当)』でも喰らってろ」
「巫山戯るな、このガキ!!」



山賊 戦闘力点16 体力点23


念撃の効果も加えて 戦闘比+8
しゃがんでようが寝転がってようが敵をあしらえる戦闘比だ。
2連続の攻撃を干草に埋まったままかわし、鼻歌を歌いながら一発で敵の胸板を破砕する。
山賊は怯み、万雷の喝采がバルコニーから降ってきた。
いいからお前ら降りて来い!!
勢いづいた隊員は、山賊をまたたくまに蹴散らす。
失った体力2点などかすり傷にも入らない。
山賊を撃退したとはいえ、やはり反撃は遅かった。
馬屋に残されていたのは僅かに11頭きり。
今回もここで40名の脱落だ。


―― さすがに、ちょっと凹む。
前回はまだしも今回は、最善の選択を重ねていってこの結果な訳だ。
……ストーリーの都合上、無理矢理隊員を減らされている感を漂わせつつ、次の岩に続く。

(つづく)