ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

頑丈な扉は堅く閉ざされている

【パラグラフ273→→→パラグラフ239:襲撃者の道あれこれ:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



小屋をあとに街道を進み、再びアサジール楽団の連中と出会う。
変化しそうな選択肢も特に無いので一緒に野営し、団員からデュバル隊長の剣 を貰い、一泊してお別れだ。
ここで乱数表を振る……8が出た。
今度は前回の逆で「5〜9」の選択になったらしい。
何が起きるのか楽しみに再び南下していく。


「ぼぉ〜じょれ〜ぼぉ〜じょれ〜」
心を奮い立たせる歌で旅の単調さを紛らわしつつ、隊員は偵察を怠らず【襲撃者の道】を進んでいく。
夕暮れ、西の山脈から黒雲が湧いてきた頃、前方にそこそこ大きな酒場を見つけた。
頑丈な石造りの酒場は雨宿りに最適だろう。
馬から降り、玄関の呼び鈴を鳴らす。
呼び鈴の音が侘びしい荒野に谺した。
窓が手荒に閉められ、覗き穴から誰かが覗いている。
警戒されているのだろうか。
「我々はソマーランド軍の者です。今夜の宿と馬を休ませる場所を探しています」
大声で叫び、返事を待った。
運試しだ……結果は6。
「その制服が盗み取ったものではないことを証明できるか?」
やはり。超警戒されている。
口で説明したところで納得させられないだろう。
そこで、俺は袖に留めたカイ戦士の徽章を見せることにした。
制服と違ってこの徽章は唯一無二。
なにしろカイ戦士はこの世に俺一人きりなのだ。
俺を殺さない限り入手できる代物じゃあない。
やがて頑丈な閂が外され、皮の上着姿の筋骨逞しい漢が現れた。
……複雑な心境だ。
「粗末な宿屋へようこそ。疑ったことをお許し下さい。この辺は物騒なので、少しの間違いが命に関わるのです」
「承知しています。信頼して頂いたことを感謝します。無論宿泊代は惜しみません」
副官のダローが柔和に応じる。
すると、驚愕の返事が返ってきた。
「お金は要りません。貴方がたをここにお迎えするのは、私たちにとってお金を頂くより有り難いのです」
「ロハですと!」
早速馬を繋ぐよう隊員に指示し、スキップしつつ酒場に入る。
酒場の鉄片を打ちつけた雨戸の脇には矢筒が置かれ、奥の壁際には槍掛けがずらりと並んでいる。
……酒を飲む場所というより、これではまるで武器庫だ。
建物内にいたのは居酒屋の主人とよく似た3人の若者だけで、一人は頭に包帯を巻いていた。
「この前の満月の夜以来、毎晩山賊に襲われているのです」
テーブルを隅に寄せ、隊員らの眠る場所を確保しながら主人が語った。
確かに、そういう訳なら正規兵の逗留ほど心強いものは無いだろう。
夜の帳が下り、雨が激しく降りだした。
暖かく乾燥した居酒屋の中で過ごすことができ、隊員らは一息ついたようだ。
食事をしつつ、主人に質問をしようと思い立つ。
知りたい情報は2つだ。
山賊の正体についてか、先月以降のルアノンの異変についてか。
どちらの質問がよいだろう?

(つづく)