ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

巡礼団レッドイーマーズの護符

【パラグラフ290→→→パラグラフ233:沈黙の巡礼者:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「危険です、ローン・ウルフ隊長」
「大丈夫だ」
幅広剣を鞘に収め、両手を広げて真っ直ぐ近寄る。
むろん勝算あってのこと。
この局面での最悪は、二人がダークロードの不死者――ヘルガストである場合だろう。
だがその場合、カイの第六感が必ず悪の痕跡を感知するはずだ。
カイの教えを使う選択肢が無いということは、すなわち危険は存在しない。
伊達に三冊もクリアしちゃいない。
作者の罠なんかお見通しなのだ。へへ、へ……
―― 読みは当たった。



近づいていくと、二人の男はフードを脱いで暗がりから現れ、控えめな笑みを見せた。
この危険な土地の只中での友好的な遭遇に安堵しているようだ。
あらためてこちらの身分を名乗ってから問うと、彼らは静かに首の護符を見せ、身分を明かしてくれた。
鎖のついた木の魚の護符。
これは巡礼団『レッドイーマーズ』のシンボルだ。
彼らレッドイーマーズは、沈黙のうちに祈りと治療に生涯を捧げ、巡礼の旅を続けるとされる。
巡礼者の一人が、聖水の入った瓶 を俺にくれた。
激しい音に外を見やると、いつのまにか降りだした雨は、周囲が見えない程の豪雨になっていた。
隊員らは既に寺院内にテントを張り、眠る準備をしていた。
空腹を感じ、夕食をとろうと荷物を漁ったが、聖水 以外にはラウンスパー しかない。
仕方がない、誰かに食事を分けてもらわないと……


君は空腹なので、食事を取らねば 体 力 点 を 3 点 失 う 。

へ?
本気ッすか!?
目の前に50名からの隊員がいるんじゃかよォォーッ……分けてもらえよッ!
……なれど本文の指示は現実は非常なもの。
バスケがしたいです食料が尽きてひもじいという一言を言えずにいるうち、隊員は全員寝てしまった。




カイ戦士のプライド:priceless
プライドだけの代償:体力点3点。
誇りだけでは生きてゆかれぬ。武 士 は 食 わ ね ど 高 楊 枝。


パンが無いなら楊枝を食べればいいじゃなーい!?
いいじゃなーい!?


やかまッしいわ!
木枯らし紋次郎じゃあるまいし楊枝なんぞ喰えるかボケッ!
そもそも楊枝買える金があったらその金で飯買ってるだろーが!
残念!
超人硬度10!地獄の断頭台斬り!


………俺はひもじさに啜り泣きつつ寝ることにした。


……まあ、たかが空腹程度で音を上げていた時点で、俺の中にもまだどこか甘さというか油断があったのだろう。
ここまでは一度も敵影を見ることが無かったのだから。



唐突に俺の眠りを破ったのは、慌ただしい鞘鳴りと寺院に響き渡る見張りの兵の叫びだった。
「夜襲だ!!!」

(つづく)