ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

西の稜線で雷鳴が轟く

【パラグラフ222→→→パラグラフ290:嵐の寺院:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



暫く自失していたらしい。
我に返った時、俺は舞台の前に戻っていた。
偵察隊員の多くは楽団員と打ち解け、なかでも一座の花形女優は大人気だ。
即席の厨房から湯気の立ちのぼらせるスープに皆が向かい、あちこちで夕餉が始まっている。
―食事は、隊員を全滅させる罠だろうか。
――ありえない。芝居の最中、既に十分無防備だった。
―――それはどうか。ナダーンの樹液などで毒殺するのが最も簡単では。
――――万が一何かあっても、カイの回復術である程度対処はできる。



「どうされましたか?」
「!?」
女性団長に話しかけられ、俺は思考を一旦放棄した。
平静を装って歓談しつつ、ともにスープの椀を受け取る。
……細心の注意を払ったが、彼女と俺の椀の中身は全く同じものだった。
椀自体にも仕掛けは無いと判断し、安心して食事をとる。
少なくとも、彼らは敵ではないようだ。
ならば、英気を養い、新たな危険に備えなければならないだろう。



翌朝、アサジール楽団と別れを告げ、俺は国境警備隊の隊員を率いて再び南へと旅立った。
悩んだ末、デュバル隊長の剣 は適当な鞘を見繕って腰の剣帯から下げておく。
この剣のことは俺一人の胸に秘めることにした。
折角英気養った隊員の間に徒な混乱を招き、士気を下げたくない。
ここで乱数表を指示され、出た目は0だった。
「0〜4」の結果に従い、パラグラフ25へと進む。



……その日は一日、単調で侘びしい丘陵地帯が続いた。
南下するにつれ、景色は荒涼として色褪せていく。
ところどころ発育の悪いモミの木が疎らな林を作り、後は剥き出しの地面や岩肌が目につくばかりだ。
午後になると西方のダーンクラッグ山脈の頂上に嵐雲が湧きあがり、俄に空が曇ってきた。
遠雷が鳴り、今にも雨滴が落ちてきそうだ。
夕暮れ近く、隊員が古い寺院の廃墟を、街道から1キロ離れた地点に発見した。
雨宿りのためそこまで避難する。
見た目こそ雑草や木の根に覆われていたが、大理石の天蓋も半球型の原型をとどめていた。
嵐をしのぐには十分なようだ。
枯れた木に馬をつなぎ、寺院に近づこうとしたその時、偵察兵の叫び声がこだました。
「誰かが暗がりにいます!数は2名!こちらの呼びかけにも沈黙し、応じません!!」
部隊が俄に緊張に包まれる。
嵐は近い。
俺は素早い決断を迫られた。

・黒服を着た正体不明の男たちを隊員たちに攻撃させるか。44へ。
・彼らを生きたまま捕らえるか。102へ。
・武器を鞘に収めて彼らに近づき、両手を広げて敵意の無いことを示すか。78へ。


(つづく)