ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ドゥレナー王アリン4世の塔

【パラグラフ284→→→40:太陽の剣:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



ソマーランド出立から15日目の早朝。
目覚めた俺の視野に飛び込んできたのは、透明な空気に満たされた山の街ハマーダルだった。
ラストランドの他の街と違い、ここハマーダルには砦が無い。
四方を囲む峨々たる連峰が、既にして難攻不落の城壁なのだ。
城市を中心に広がった肥沃な穀倉地帯を駆け抜け、数々の塔が立ち並ぶ大通りを抜けた馬車は、王都の中心、丘の上に立つ一際華やかな王の塔へと辿り着いた。
この瞬間、ソマースウォードの使い手としての俺の運命が、ラストランドの伝説の一部になるだろうと気づく。




俺が謁見を許された王の間で、アリン四世は物思わしげに薄い色のガラス窓から山々を見ていた。
古来の作法に則って礼をすると、アクシム卿が俺からハマーダルの紋章を受けとって玉座に向かい、状況の深刻さを表す真剣な顔で1時間近く話しあう。
王が俺に話しかけてきた。
「ダークロードの邪悪な軍勢が再起し、ソマーランドはわが国の助けを欲しているのだな」
「はい、アリン王陛下」
「私の統治は平和と充足の時代として記憶されることを願っていたが、心の中ではそうではないことを知っていた」
純白のマントを翻し、国王は中央にある大理石の壇へ進むと、小さな金の鍵を差し込んだ。
静かに石の蓋が外れ、剣の柄が露わになる。
「これが剣だ、ローン・ウルフ。そなただけが、この刃の中に眠る力を解き放つことができるのだ」
言葉を忘れ、俺は歩み寄った。
黄金に燃えさかる剣の柄に手を伸ばし、躊躇わず握りしめる――



これこそソマースウォード、善なる神が人々に授けた太陽の剣である
 柄を手に取った瞬間、腕から体中に駆けめぐった衝撃に圧倒され、没我の境に入る。
 本能的に頭上に掲げると一条の陽光が剣を捉え、王の間は眩い光の奔流に飲み込まれた。
 ソマースウォード の真の威力が顕れたのだ。
 今や、次々と新たな知識が心に流れ込んできた。



 この太陽の剣は、ラストランドに人類が棲み着くはるか以前、人ならざる鍛冶師の手によって、黄金と鋼、ごく僅かな太陽の霊質から鍛え上げられた。
 その威力を解き放つことができるのはカイ戦士のみであり、他の者が剣を振るえば、秘めた力は永久に失われるだろう。
 ソマースウォード をもって戦いに挑めば、戦闘力点に8点(武術で剣を習得していれば10点)を加えることができる。
 また、この剣はあらゆる邪悪な魔法を吸収する力を発揮する。
 さらに、ヘルガストなどの不死者には2倍のダメージを与えることができるのだ。




ソマースウォードこそ暗黒の半神であるダークロードを殺せる唯一の武器であり、この剣を振るい、人々を邪悪から救い出せるのは、今やマグナマンドで俺のみ。
これこそ、ケルマン船長が、ライガー提督が、いや全ての人々が、自らの犠牲を顧みず俺を前へと送りだしてくれた理由なのだ……

(つづく)