ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ240→→→209:見えない敵、凶兆:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「火事は偶然ではない、ローン・ウルフ」
船長は真剣な表情で話しだした。
「何者かがこの船に乗り込み、自らの命をかけてまで我々をドゥレナーに行かせまいとしているのだ」
「だが、船長。この船は出航以来どこにも……」
言いかけて言葉を飲み込む。
出航して以降、この船はどこにも停泊せず、誰も乗せていないのだ――その事実がもたらす意味。
まるで焼け焦げた陶器が答えを知っているかのように、俺と船長は押し黙って机を凝視し続けた。
船長室の沈黙を破ったのは、甲板の叫び声だった。
「船だ!左手前方に船を発見!」
「何かあったようだ」
望遠鏡と剣をつかんで船長が駆け出す。そのあとを追い、甲板に出る。
既に、水平線上の朧な船影に向けて『グリーン・セプター号』に搭載している大型ボートが近づいていくところだった。
「部下が素早く行動したようだな」
「なぜボートを出すんだ船長。海賊かも知れないというのに」
「あの船は旗も上げていないし、船体は見たこともない妙な形をしている。少なくとも海賊船とは思えない」
大型ボートは必死に漕いで近づくが、魔法でも使ったかのように濃い霧が辺りに立ち籠めだし、やがて船影をすっかり飲みこんでしまう。
そして、じわじわと霧が晴れる頃には、海上から船影そのものが消えてしまっていた。
「幽霊船………」
「呪われた航海……」
迷信を恐れる船員らがざわつきだし、言い難い衝撃が広がっていく。
まずい状況だった。
……乱数表の結果は9。
209へと向かい、船長の決断を聞くことにする。

(つづく)