ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ケルマン船長が俺を呼び止める

【パラグラフ240→→→222:水上の炎:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



3日間が過ぎ、平穏な船旅も退屈になってきた。
旅籠でうけた傷もいくらか癒え、 体力も27点 まで回復している。
茫洋と波頭のうねる北マグナマンドの海に目を凝らし、時折地図をのぞいては船員と雑談をかわす。
既に難所といわれるマノン遭難岬は通過し、今はカルト海寄りにドゥレナー湾を横切っているらしい。


4日目のことだった。
前部甲板で怪我をした船員と話していた俺は、船倉あたりから漂う焦げ臭い匂いに気がついた。
慌てて錠を外し、船倉のハッチを滑らせる。
次の瞬間どっと空気が流れこみ、一気に広がった炎が俺の顔面を舐めあげた。
「―――ッッ――――――!!!」
ダメージ2点 の火傷を負い、よろよろと後退る。


あっという間に甲板は大騒ぎになった。
船員たちが、火事を消そうと懸命に働く。
1時間をかけて鎮火はしたが、船はかなりの被害を受けた―― 燃えた船倉は食料庫だったのだ。
焼け跡を眺める俺の肩をケルマン船長が叩いた。
「2人だけで話がしたいのだが、いいかな」
「…………」
「見てもらいたいものがあるのだ」
そっと船長室のドアを閉めると、彼は小脇に抱えた包みを広げ、中身を机にブチ撒けた。
焦げた陶器の水差しに、黒く炭化した数枚の襤褸切れ。どれもべったりと油の匂いがこびりついている。
俺は言葉を失った。





―― 破壊工作の、明らかな痕跡だ。
(つづく)