ワイオミングの惨劇(ISBN:4102139214)

トレヴェニアン、新潮文庫
1898年、州に昇格して間もないワイオミングの刑務所から、3人の凶悪犯が脱獄した。
それと同時期に、近くの寂れた鉱山町『20マイル』に、マシューという若者が現れた。
陽気で働き者のマシューは、なぜか時代遅れの大きなショットガンを大事そうに抱えていた・・・・・・。


トレヴェニアンは伝説の囲碁小説『シブミ』とかの作者。
ゴールドラッシュが過ぎて久しい斜陽の西部を舞台に、善と悪の緊迫感漂う対決が描かれマス。
不幸な少年時代を過ごしたために、世渡りの要領だけを覚えた感のあるマシューは、一方で小説のヒーロー『リンゴ・キッド』に憧れる無邪気な若者だったりしマス。
臆病で卑劣な町の住人たちに失望しながらも、マシューの胸には黄金の心が眠っていて、目覚めるきっかけを待っていたりするね。
大体そんなようなお話。
ぶっちゃけ登場人物の半分が救済不能のダメ人間で、その上ファッキンシット方面のエピソードも多々あったりするので、ピュアでイノセントな若い子その他にはおすすめできません。
まあ18年ぶりの新作でもあり、入手できるうちに読んでおいて損はないでしょう。