緊急特別企画・灼熱地獄のゲームブック対談

朕「………………」
B「………………」
朕「ぶっちゃけ、どう、ですか」
B「どう、とは?」
朕「この新作……『迷宮キングダム』関連商品でもありながら、GBに求めてきたほぼ理想的な仕様という所感を得ました」
B「………………」
朕「だがッ あえて火中の栗を拾う心境でッ 地獄のゲームブッカーことBOB先生の御意見を拝聴したいッッ」


ブ ゴ ゴ ゴ ゴ


ベ チ ー ン


朕「ゲエーッ!既に頁の1/3近くの角が折り込まれているッ!それはもしや『救世スプーン大帝』の称号の証……ッッ!」
B「フッ……まあ軽くプレイしておいたが まさか保存用にもう1冊買う破目になるとはな!」
朕「朕でさえ4周目にしてようやく完全制覇が見えてきたというのに……どんだけやりこんでるんだアンタ」
B「いや俺自身が白鯨になった心算で国王とその人民が御腸内を徘徊しているかと思うと、やりこむ程に日々お通じも良くなるというライフハック。つい先刻もブリリアントルームでアオオー!」
朕「アオオーはいいんだけど手洗った?」
B「えっ」
朕「えっ」


B「大体アレだ。フーゴ・ハル御大が作者と言うが、御大は謎の外国人イラストレーターじゃあなかったのか」
朕「どうもクロスワードパズルの雑誌とかを作られているらしいので、ゲームデザインにも造詣が深いらしいよ」
B「その雑誌……『MC☆あくしず』並みにエロい内容なら情報提供してもらいたいッ!」
朕「……はあ」


(以下、地獄のゲームブッカーがひたすら喋り倒します)
B「お前の言う通りシステムは洗練されていて非常に評価できる」
B「アイテムやフラグの管理は対応する頁の角を折るだけだし、しおりがあればヒットポイントが記録できるゆえに、筆記用具が不要なのも嬉しい所だ。この携帯ゲームありきの現状をよく踏まえた上で、それでいて紙媒体ならではの特徴を生かした作品と言えるだろう」
B「ページ数とセクション数を同時にジャンプさせられる、一歩間違えれば元の地点に戻ろうにも戻れないこの浮遊感は好き嫌いが分かれるかも知れんが」
B「双方向ダンジョンを更に発展させ、飽きさせないようになっている。勿論ズルが意味を為さない構造という意味合いもあるんだろうがな」
B「再読性にこだわっているのは、戦闘システムにも反映されている。敵が一撃死する数字を覚えておけば、次回からは華麗に倒せる訳だ」
B「ストーリー展開も小目標『仲間の救出』、大目標『白鯨からの脱出』と王道を踏まえており、過去の名作GBにも共通する要素だな。軽妙かつ読み易い文体とデフォルメイラストもいい」
B「どこかのブログでも言及されていたが、表紙のどこからどう見てもGBであることをアッピールしているのが好印象だな。本来当たり前の話なんだが」
B「新書サイズもJICC出版のシリーズを彷彿とさせる。もっとも新書ならではのレイアウトだったり、仕様と込みなんだろうな」


朕「……もっと辛口かと予想してましたが、意外にお褒めに預かりますね」
B「うむ。ここ数年で発行された新作GBの中では五指に入るだろうな」
朕「ちなみに残り四本指は何よ」
B「『名探偵コナン 『嗤う黒猫』殺人事件』、『峰深き瀬にたゆたう唄』、サークルFT書房様の『ミラー・ドール』3部作、サークルMIDNIGHT DEJAVO様の『世界樹の迷宮』シリーズ」
朕「同人も入ってくるのは御時世だねえ……って今さりげに18禁作品が入ったよね?」
B「いやもうリングのド真ン中に屹立してまっすェ」(中指を立てつつ)
朕「……知らないよ」


ドラキュラ城の血闘 (Adventure Game Novel)

ドラキュラ城の血闘 (Adventure Game Novel)

朕「当然ですが内容は文句ないのでは?名作でしょう」
B「ちょっと捻った展開、特徴のあるユーモラスな言い回しもそのまま、お勧めのGBである事は間違いない……だがッ!」
朕「だが?」
B「レディー・ガガ vs ヘンリー・ダーガー。これは燃えるで……」
朕「……燃えないよ」
B「ハービー・ブレナンって誰だよ。リカちゃんの兄弟かよ」
朕「中表紙に英文でJ.H.Brennanって書いてあるけど」
B「あー。正確性を期しましたーッ!アリオッホにしてみましたーッ!て奴か。だったら訳者もヒューゴー・ホールでいいじゃねーか」
朕「ちなみに奥付には訳者の略歴が記載されてますが」
B「作者の略歴は無いのにな。じゃあブレナンって誰だよっつー話だよな。何だそれ。『J・H・ブレナン』で作者名を覚えてる奴はノーサンキューかよ」
朕「どちらかというと、それは出版社様のもとい編集者様のスタンスというか方向性の問題だから何とも……」
B「カーッ、ペッ!」
朕「やめなはれ!ゲームブック界の人に怒られるのは朕なのだから!」
B「そんな界があってたまるかボケ!クイーンズブレイドのオフ会で馴れ合ってろ!」
朕「……ゲームブッカーは孤高だからねえ……」
B「まあ今回の剣社通信はお便りコーナーが面白いから許してやってもいい。曰く『創土社のGBは胸元に入れておくと銃で撃たれたときに助かったりするんだぜ』」
朕「ちょっと古風というか昭和のセンス漂うお便りだね」
B「俺が工房時代に携帯していた『花と蛇』全三巻だったら一冊でもニューナンブの弾くらいは実際に止めるけどな!」
朕「……ああ……太田出版から出てた天野喜孝が表紙の奴……」
画集「花と蛇」

画集「花と蛇」