ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

タロットの一枚に目が吸い寄せられる

【パラグラフ24→→→パラグラフ48:凶運を語る占札:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



<前回までのあらすじ>

   お猿な種族オーコールの村で昼食中、怪しげな身振り手振りで占いを勧められる。
   なんとなく頷いたのが運のつき。
   気づけば猿の占いババに詰められ、満面の笑みで謎のお札を選ばされている。
   狼は叫んだ。
   「巫山ッ戯んな!アール○バン商法かよ!!ビタイチたりとも金は払わねーぞクラァァ!!!」




簡にして要を得たあらすじ、終了。
乱数表を指す前にページに指を挟もうかと考えたが、既に『占わない』選択肢は逃している。
こうなったら気にせず指す……出目は「7」だ。
3枚のお札を引き抜く。
裏返すと、いかにも意味ありげな象徴があらわれた。
―― 1枚目は丘に建つ城。
―― 2枚目は龍の吐息。
―― 最後、3枚目は深紅の牙の黒蛇だ。
どことなく不吉さを覚える。
老婆は節くれた指で宙に模様を描き、お札を睨んだまま、呪言を呟きはじめた。
トゥク・トゥランが聞き取り、教えてくれた。
『あなたは、はるか彼方の、龍が息を吐く城へと向かうのかね?』
「ああ」
『この城には蛇がいるだろう。致命的な毒をもっていることに注意なさい』
「……」


『毒蛇の一噛みで―― あなたは死ぬ』


ああ。なるほど。
向かうべき終着の地サンダイ寺院は、廃棄などされていないのだ。
この先のバトルもむろんだが、最後の最後に大トリの一番が待ち構えている。そういうこと。
ならば、装備や薬の配分にも入念に気を遣う必要がありそうだ。
「ゲップ……意味深ですな、お客人」
「ああ」
「しかし占いとはゲップ、オゲェェップ、えてしてそういうものですからップップ」
「……」
狂ったようにゲップを繰り返すトゥク・トゥロン指揮官だが、しかしこれがこの地の重要なしきたりのようだった。
もてなしを受けたら盛大なゲップで応える。
どういう訳かそれがオーコールたちにとっての最高の賛辞らしい。
彼がゲップを1つするたび、村人が十二段階式でより嬉しそうな笑顔になっていくのだ。
村人の顔芸がより精妙な痙攣の域に達したあたりで気づけば、占いババもお札を束ね、足を引きずって厨房へ戻っていくところだった。
どうやら有料ではなかった様子。
……というか、この異界でマグナマンドの金貨や硬貨は使えるのだろうか。まずムリっぽいな。


「では、行くとしましょう、お客人。いいですね?」
袖で口を拭ったトゥク・トゥロンが言う。
黙って頷くと、指揮官は配下に向かって、さっさと戦車に乗り込むよう吼えた。
こいつ、どうやら上下関係次第で態度を豹変させるらしい。
猿のリーダーという設定の割に典型的な中間管理職だなあ。
まあなんでもいいけど。
村から遠ざかりつつ振り向くと、老いた占いババは手を振って別れの挨拶を告げていた。


永遠の黄昏界を渡る旅路はさらに続く。
村を抜けて4、5キロ進むと、ようやく道は谷合を抜け出した。
視界を遮るものがない、一面の青々とした広大な草原を二輪戦車が疾駆していく。
時間が紙切れのように千切れてていった。
果てのないダジャーンの平原。
太陽どころか一切の光源が存在しない灰色の空の下、なぜ、これほどの草原が生い茂るのだろうか。
流れ去る景色が、驚きをいや増していく。
やがて、地平線を横切って、黒々とした水流が見えてきた。
堆積物まじりの水が緩慢に流れ、灰色がかった緑の木々が川べりに並ぶ。
マグナマンドのテンタリアス大海峡をすら上回る川幅をもつ、悠揚たる大河だ。
この大河へ向け、平野は徐々に下っていく。
川べりに近づくほど、街道脇の草は小高く生い茂り伸びているようだ。
暗い水の上を渡り、頑丈そうな橋を抜けて、道はなお川向こうの丘陵の連なりへと続いていく。
このとき、第六感が不穏さを嗅ぎ取った。
近づくにつれ、焦燥感が募る。
なにか深刻な見落としが存在していると、それに気づかずにいるのはマズいと、感覚が訴えかけてくる。



  上級狩猟術を身につけていてプリンシパリンの階級に達していれば、48へ。
  上級狩猟術を身につけていないか、プリンシパリンに達していなければ、321へ。




(つづく)