ゲームブック・リプレイ：ローンウルフシリーズ
【パラグラフ294→→→パラグラフ58：セロッカとの対面：（死亡・15）】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。
俺の伸ばした手の先は―― 弓ではなく、斧。
油断なく
想像にすぎないが、ここでの即死イベントの「トリガー」は、弓での先制攻撃だと歴戦の勘が告げる。
選択肢を見れば一目瞭然。
弓を持っていて、つかいたければ、46へ。
武器を抜き、身を守ろうとするなら、278へ。
降伏するか。94へ。
注目すべきは２つ目の選択肢。
襲われているのに選択肢が「戦う」ではなく「身を守ろうとする」……なのだ。
これほどの屍血山河を築いてきた狼が、いまさら敵を相手にして戦わない、などと寝言をほざくなどありえない。
ゆえに、ここは「戦わない」のではなく「戦えない」局面。
猿どもがセロッカ配下であることを鑑みれば、戦闘はみずからを追い込むだけだ。
気づけば、十重二十重の武装猿どもが俺を包囲している。槍衾の向こう側には変わらず５台の二輪戦車。
ガラスの穂先をつきつけ、指揮官が武器を納めろと合図してくる。
その方が利口だと、俺も思うんだがね。
……今日にかぎって、なぜか本文の俺はＫＹだった。
指揮官は、身振りで君に武器をおさめるか、愚行の責任を取るのか、 どちらかを選ぶように伝える。 身振りを無視した君は、そのまま敵に襲いかかろうとする。 そのとき、さらに多くの二輪戦車が、パトロールを強化するために 都市の城門から吐きだされてくる。
わぁーお。
どこまでも血に飢えた狼だった。
別にプレイヤー（中の人）がオカシイわけじゃないのですよ。本文からしてこの狂犬ぶりなのデスヨ。
翻訳も、けっこう原書に忠実に行っているわけで。
殺戮に走りがちなのも、本文の選択肢にしたがっているせいだとご理解いただきたく。
ええ。
ええまあ、その。
まあなんだ、そんな感じで誰にともなく弁解しつつ、狼、連行。
万国共通、両手をあげて降参のポーズを取ってみせる。
白旗揚げて通りをしょっぴかれていくと両側の通りで猿ども大歓喜。
まるで凱旋パレードのごとくザス―― ああ、この都市の名前だ―― の住猿たちがどっと押し寄せてくる。
熱狂的な興奮の渦中なのは構いやしないが、ひっかいたり、小突いてきたり、虫が入るまでぽかんと口をあけているのはよろしくない。特に見た目が。
とりあえずで 体 力 を ３ 点 う し な う 。
まさに烏合の衆だ。
ぶっちゃけ、輝く都市の巨人族ヨーコールに比べたら100倍弱そうだなぁと思いつつ、都市中心部の塔へ連れ込まれた。
青銅鎧を着たオーコールの監視官にひきわたされ、螺旋階段をのぼっていく。
案内、という表現でよいのだろう。
何も知らない外のアホ猿どもにくらべ、この猿たちは俺の立場も状況も把握できているようだ。
滑らかで装飾や家具のない部屋に通される。
背後で扉がしまると、それが合図であるかのように、壁の一画がスライドして開いた。
長身でしなやかな物腰のシルエットがこの新しい入口前に浮かび上がり、テレパスが柔らかく語りかけてきた。
”妾の名はセロッカ”
”ああ。あんたを探していた”
”ローン・ウルフ、そなたに歓迎の意を表する。妾の居室に入るがよい。かくも遠くまで妾の援助を求めにきた理由を聞かせてたもれ”
やはりだ。
このセロッカも、ダジャーンにおける支配階級の一人のようだ。おそらくはザスの統治者なのだろう。
念バリアを身につけていてチュータリーの階級に達していれば、311へ。
念バリアを身につけていないか、チュータリーに達していなければ、58へ。
踏みこむ寸前、強力な精神エネルギーの紗幕を感知する。
セロッカの居室と小部屋―― 謁見室をつなぐ通廊に張り巡らされたそれは、巧妙に擬装してあるが、偏執狂的な入念さだ。
念バリアで性質を探ると、その意図を知り、軽い衝撃をうけた。
このエネルギーの檻は、セロッカの精神にのみ反応し、彼女を軟禁するためのものなのだ。
もしも彼女が無理に通り抜ければ、致命的なエネルギーが解放される。
……おそらくは、ヴォザーダを不毛の領域に作り変えるほどの。
「……」
なぜ、セロッカは自身の執政室に軟禁されているのか。
一目見て感じる、稀有なる力。
セロッカ本人は、決して「見護り手」にも劣らない能力を有しているとすぐに判断がつく。
そのセロッカを幽閉するのは何者か。
好奇心が先にたち、俺は踏み込んだ。彼女のあとを追って通路を進む。
薔薇のツタめいた文様を彫刻した巨大な大理石の列柱が環を描き、はるかな天蓋を支える広間に出る。
そこが、セロッカの執政室だった。
優雅な虎のしぐさで、セロッカが執政机の向こうに座る。
謁見と会談の始まりだった。
| 通過パラグラフ：(294)→278→86→311→58→ 治癒術の効果：＋４点 現在の体力点：32点 |
（つづく）
