ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ295→→→パラグラフ335:人 肉 喰 ら い:(死亡・15)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



隠蔽術か、方向認知術があれば逃げられるという選択肢が告げる。
これはむしろマズい展開だった。
逃走率が高いなら、逃げそこなったときのペナルティも大きい。そうなりはしないか。
いや。マグナマンドではそれが通例なのだ。
もとより、気の利いた脱出スキルなどマスターした覚えもなく……
ガサガサと無遠慮に茂みを踏みにじり、1ダース近い亜人類が姿をあらわした。
手にした武器は原始的で粗末なもの。
それが逆に彼らのど外れた膂力と危険性の高さを物語る。
扁平な頭。無毛の顔。ずんぐりした体型ときわだった二の腕の太さ。
獣の肉なら同類であれ何でも喰うが、とりわけ人肉を好む猿人の群れが、獰猛なまでの食欲と冷静な戦士の統率をもって迫ってきた。
セザ攻防戦でも戦ったが、戦闘力だけならカイ・マスターの比ではない。
……こちらが素手でなければ。
弓の選択肢に飛びつき、すばやく一撃食らわす。
頭蓋を射抜かれ、先頭の一匹が斃れると、ゴロゴロと不快な唸り声を放って全員が殺到してきた。



  クローン  戦闘力点20  体力点33


念波動(毎ターン体力ー2)は使わず、裸拳と念撃のみで毛無しのエテ公軍団に立ちむかう。
戦闘比−2だが念撃の+2を加えて±0、温存した体力点は35点。
戦うには十分だ。
すばやく4度乱数表を指す……出目は「1,0,8,8」。
初撃の大ファンブルの後は、会心の連打がつづく。
単調な打撃をかわしながら足捌きで敵を幻惑し、反撃を許さず拳、手刀、貫手をたたきこんでいく。
眼球を破裂させられ、あるいは喉笛を裂かれる憂き目を食らいクローンが昏倒していく。
最後の一匹が死体の山の頂点を完成させた時点で、俺の手傷は5点。
野生のクローンを全滅させた代償、無刀での戦いとしては及第点だろう。
血塗れた手を洗い、死体をさぐる。
わずかに腰のズダ袋から肉がでてきたぐらいだが―― 奴らの嗜好を知っていれば、口にする気にはなるまい。



  川を渡るまえに死体を隠すなら、146へ進め。
  死体を寝かせたまま放り出しておくなら、335へ進め。


まあ追っ手をかけられても面倒だ、死体を隠そうと動きまわり、ささやかな報酬を得た。
奴らが釣ったばかりの新鮮なカワマスが茂みに転がっていたのだ。
最大5食分あるカワマスを、ナップザックの空きに3食ぶちこみ、ブロール河の早瀬をわたりだす。
長かった……
ついに、このゴースト島ともおさらばだ。
ヘルスワンプにまさるとも劣らぬ脅威の原生林にいま一度目をくれ、岸辺をあとにした。
密生する木々が許すかぎりの速さでモガドールの森に入っていく。
―― 長い旅の始まりだった。


通過パラグラフ:(295)→67→119(戦闘)→84→146→335  治癒術の効果:+3点   現在の体力点:28点
(つづく)