ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ185→→→パラグラフ250:エル原生林の驚異:(死亡・14)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



嘆息しつつ、敵手の技量をざっと判断する。
戦闘前から分かっちゃいたが、とんだ茶番劇だった。
彼我の戦闘比は動物コントロールのボーナスまで含め、実に戦闘比+12
念撃への耐性すら持たない彼らは、歴戦のカイ・マスターの前では赤子に等しい。



  2回戦ののち、戦闘を避けてもよい。39へ。
  戦闘に勝ったら、239へ。


細やかな逃亡への気遣いも、とんだお笑い種でしかない。
1合目の乱数表は「5」。
密着した乱戦の中かすり傷1点のみに被ダメージを抑え、敵に14点の大打撃を食らわす。
2合目、もはやダメージ計算するまでもなくクリティカルの「0」=即死攻撃の発動がレジスタンスの命運を絶つ。
俺の咆哮に応え、太陽の剣から黄金の焔が迸る。
衝撃波が大地を薙ぎ払い、兵士らは跡形もなく蒸発していた。
……ただの2回戦。これで決着だ。


口封じも済ませ、さっさと先へ進むとするか。
そう思いかけた矢先、遠方より迫るひづめの轟音をカイ・マスターの聴覚が捕らえた。
レジスタンスの援軍か!?
ぎらりと崖上を睨む。どこに潜んでいるのか、生き残りが素早く狼煙でも上げたのだろう。
街道は一本道、追いつかれれば、また無益な雑魚戦闘が待っている。
短く罵って馬上にまたがり、拍車をかけた。
疲れも見せず、じわじわ愛馬が距離を広げていく―― かに見えた矢先だった。
不意に馬がつんのめり、馬上からカタパルトのように打ち出される。
怪我もなく受身を取って立ち上がるが、馬はそうもいかなかった。
小さな窪みに蹄をとられ、前肢を折ったのだ。
頑張ってくれた愛馬を動物コントロールで労い、治癒術で簡単な手当てを施す。
とはいえ、最前のように走らせることはもうムリだった。
レジスタンスの増援が街道の彼方に姿を現したため、やむなく街道をはずれて林の中へ逃れていく。
藪の中をかきわけつつ、己が不運を嘆いた。
たかが牛追い鞭 一つでねェ……ちょっと意地悪すぎませんか創造神よ。
空を見上げ(主に英国の方を眺めて)、ひとしきり毒づく俺だった。


鍛え上げた冒険者の脚で、数時間ほど暗く繁った松林を走り続ける。
夜に飲まれた漆黒の森の中、カイの感覚と一筋の月光が、昼間と同様の速度を俺に与えてくれた。
追跡するレジスタンスの狂騒が見る間に遠ざかり、完全に消えたのを待って足を弛める。
街道をはずれ、ひたすら東へ逃亡した。その結果がこれだ。
もはやセブ・ジャレルの援助は期待できず、かといって今さらルオミには戻れまい。
ただ一人、孤立無援。
この狼の原点にして、いつに変わらぬ立ち位置だった。
目的は変わらない。このまま北東へ進路をとり、モガドールの森からトーガールを目指せばよい。
疲れはピークめざして蓄積する一方。だが、寝るに寝られない訳があった。


 そのうち、徐々に疑いとしてわきおこったことが、確信となって執拗なまでに警報を鳴らす。
 ――君は誰かに監視されている。



通過パラグラフ:118(戦闘)→239→250 治癒術の効果:+2点   現在の体力点:34点(全快)
(つづく)