ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ101→→→パラグラフ209:3日目・トーグ河:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



3日目は雨こそやんだが、嵐を予感させる曇天の下、激しい西風が猛り狂った。
荒涼とした沼地を吹きぬける冷たい風が、骨の髄まで体を震わせる。
ボートを進めるうち、水道は狭まってきた。
ねじれた灰色の葉が集まった木々の残骸が両岸を覆いつくす。
半ば石と化し、腐食した根元にボート波が折り重なり、吐き気を催すガスの塊が放出された。
「口をふさげ、ローン・ウルフ卿。沼の毒気だ」
「……いや、俺は大丈夫だジャレル」
毛皮の袖で口と鼻を覆うジャレルに変わり、平然とオールを漕ぎ進める。
そりゃあねえ。
空気中の微粒子だって念フィルターで濾過できちゃう、ネクサスの能力保持者ですから。
深呼吸したって肺にはダメージ一つつかないだろうと思う。それがなぜか悔しくてならない。
ようやく有害な潅木地帯を抜け出す。
水路が広がり、打ち返す波が強さを増していく。
「そろそろだな。トーグ川の河口近くにたどりついたに違いない」
一度ジャレルと交代し、骨折ってオールを漕ぎ続ける彼の傍らで地図を調べた。
右手に見える針葉樹林がモガドールの森。
ここから、トーグ河を上流へさかのぼっていくことで、トーガールの膝元までたどりつくのだ。
再び俺が交代したとき、視界が開け、トーグ河のとば口が見えてきた。
いくつもの河が合流する分水嶺
強まる流れの中、トーグ河を着実に上流めざし進んでいく。
18キロ近くさかのぼったところで、不意に、水面下の障害物にオールが叩きつけられた。
「どうした、ローン・ウルフ卿」
「分からない。オールが何かに引っかかったみたいでまるで動かせないんだ」
「まさか。この場所だぞ?」
セブ・ジャレルが驚くのも無理はない。ボートは、浅瀬や障害も見当たらないトーグ河の中央で立ち往生しているのだ。
濁った水面をのぞきこみ、オールを自由にしようと動かす。


―― そう、表面的には、そのふりをする。



  方向認知術を身につけていて、チュータリーの階級に達していれば、191へ。
  方向認知術を身につけていないか、チュータリーに達していなければ、28へ。


―― やはりという思いがあった。
このまま、無事にヘルスワンプの水道地帯を抜け出せるはずがない。一波乱きてしかるべきなのだ。
待ち伏せをかけているのが何者であれ、今の体調では十分とは言えまい。
「お、おい、何をするローン・ウルフ卿」
オールを手放し、すばやくナップザックをあさる。
最後の一手……残されたラウンスパーの一滴を、いま、この場で飲み下す!
一巻より長らく持ち続けたラウンスパーの薬で体力+3。
これで体力点は11点
戦闘時のコンディションとしては微妙きわまるボーダーライン。
だが、この程度の体力で、ラストバトルを勝ち抜いたこともあるのがこの俺なのだ。
怖れも悔いもない。
全力で、パラグラフ28へ飛ぶ。



そこで、最悪の脅威を、俺は目の当たりにした。



通過パラグラフ:(101)→209→ 治癒術の効果:+1点   現在の体力点:11点
(つづく)