ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ46→→→パラグラフ51:虚言の砦:(死亡・13)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「さあ答えてもらおうロルフ……時間切れだ」
疑惑の念を宿した隊長の瞳をのぞきこむと同時に『能力』を発動させる。
精鋭と呼ばれるエル斥候兵としてどれほどの訓練を積んだか知らないが……
このカイ・マスターの精神感応力を叩き込んでやれば、無防備な貴様の心など剥きだしの黒板同然!
戴いていくぜ!訓練時代の『記憶』とやらをよォ!


武器の訓練を受け、山林でのサバイバルを学ぶ兵士らの光景が脳裏にうずまく。
更に集中力をあげていき、そして、唐突に、心眼によってその地名が明確な形をとる。


「訓練地は―― だ。違うか?」
「あ、ああ。その通りだ……よろしい、お前は確かに正規の斥候兵だ」
またたきもせず返答した俺の態度に怯んだのか、隊長はのけぞり、カウンターに合図した。
巧妙な偽装と迅速な精神ハック。
精神のサークルを修めた俺の探査は完璧で、隊長は心を盗まれたことにさえ気づいていない。
石弓をテーブルに置く音で、ようやく全身の緊張をほぐす。
「お前をジャレルのもとへ連れていこう」


目隠しをつけたまま馬に乗り、隊長に手綱を引かれて暗い森へ歩み入る。
「これは双方の安全のためなのだ、ロルフ。分かってくれるな?」
「俺がドラッカーに捕まった場合の予防策だろう?」
そっけなく答え、聴覚を研ぎ澄ます。
俺からすればドラッカーに捕まること自体お笑い草だが、レジスタンスにとっては死活問題なのだろう。
隊長と俺の馬は獣道を歩いているようだ。
2時間ほど黙々と行軍し、やがて、周囲が開けたことを肌で感じ取る。
「ついたぞ」


 君は目をこすり、雪をいただく雄大山麓のくぼ地に寄りそっている野営地全体を見まわす。
大勢のレジスタンスがひしめきあい、馬たちの世話を忙しくこなしたり、激戦で鈍った武器を
研いだりしている。


―― まさしくそこは前線の野営地だった。
ひっきりなしの会話、怒声、馬のいななき、野営の炎、血塗れた武器を手に戦功を比べあう兵士たち。
数個大隊に匹敵する統制の取れた集団。それがレジスタンスの正体なのだ。
野営地の縁で馬を下り、巨大な岩の張りだしで隠された山麓の洞窟へ案内されていく。
たいまつの輝く通路は枝分かれし、肉を焼く匂いや声が反響する。
ナップザックから下がる牛追い鞭 を見えないよう背中側に押し込む。
間違いなくジャレルはハルガーを知っているだろう。
……襲われた結果とはいえ、レジスタンス殺しは、決して、知られてはならない。
「ついたぞ、ロルフ」
槍を持つ衛士2名が警護する、幕で仕切られたアーチの入口前で隊長が足をとめ、振り向いた。
「彼はグレイゴール皇子の特使だ。セブ・ジャレルとの会見を願う」
「……分かった。通れ」
身を引いた衛士の脇を抜け、緊張しつつ、奥の間に踏み入った。
こうまでして身を隠す指導者セブ・ジャレルとは何者なのか。どのような出で立ちなのか。


アーチをくぐると、そこは、瞬く焚き火の光が照り返す広間だった。
5人の男が火のまわりに車座に座り、串に刺されて炎の上にかけられた
猪の肉を切り分けて食べ、仲間同士で皮袋に入ったワインを回しながら
がぶ飲みしている。
彼らの前に進みでると、鼠のような特徴のある顔立ちの男が口を開いた。


「斥候兵か。我々に何の用だ」
「俺の名はロルフ。セブ・ジャレルはどなたか」
「私だ。かまわんよ斥候兵、ここで用件を聞かせてもらおうか」
返事をした鼠顔の男をじっと見つめる。
無論初対面だ、セブ・ジャレルに関する情報自体が少ない。
だが。



予知を身につけていれば、157へ。
予知を身につけていなければ、275へ。


その不足を補うものこそ、修練を重ねたカイ・マスターの精神技能……!
中でも最強の一角たる予知が警鐘を鳴らす。
ネズミ顔を眺め、ついで残りの男たちに視線を投げ、こみあげる緊張に身構える。
彼らは全員、セブ・ジャレルではない(・・・・・・・・・・・・・・・・・――

「何を黙っている、斥候兵」
「……」
なぜ、彼らは俺をハメようとしているのか。
じわじわと疑心が黒く心を塗りつぶし、次なる対応を求めて頭が回転を始める。
冗談ではない。もっとも信用ならないのは他ならぬレジスタンス自身だった……ではジョークもブラックに過ぎる。
彼らは、本当に、信じるに足る相手なのか……?



ネズミのような男になぜ嘘をついているか問いただすなら、51へ。
武器を抜き、男の身分を証明するよう要求するなら、132へ。
洞穴を去るか。23へ。


仮に脱出を図ったところで囲まれるのは目に見えている。
ならば結論はひとつ。最悪、ここで戦闘になっても構うまい。真実を追及するのだ。
腹を括り、ネズミ顔をねめつけた。
「お前は何者だ……偽者の分際でリーダー気取りか」
「!?」
広間の空気がざわりと揺らめいた。



通過パラグラフ:(46)→287→25→38→157→51 治癒術の効果:+5点   現在の体力点:33点
(つづく)