ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ269→→→パラグラフ208:古代都市ザーリクス:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「まずロアストーンを巡る基礎的な事項から確認しよう。既にデッシのリモア卿から学んでいることだと思うがね」
順を追って、チバンがロアストーンの出自を語りだす。
「創世期のマグナマンドに最初に送りこまれたのは高貴なるカイ神の下僕だった。これは知っているかね」
「無論だ。善なる竜ナイゼーターのことだろう?」
「然り。やがて深海にてナイゼーターは『邪悪』の萌芽を知り、陸に上がって古代のシンクス王国を築き……」
「カイ神より授かった善の力を守るため、ナイゼーターは7つの水晶―― ロアストーンに太陽神の叡智を注ぎ封印した」
今を遡ること1万7千年ほどの話だ。
善なるシンクス王国は大いに栄えたが、これを良しとしない暗黒の王ナールは、最強の下僕を送りこんだ。
「それが地獄の王アガラシュだ」
地殻を変動させるほどの争闘は2千年に及び、遂にアガラシュは老いたナイゼーターを殺してロアストーンを奪ったのだ。
やがて古マギ人がアガラシュを打倒し、ロアストーンは初代サン・イーグルへと受け継がれていく。
「初代グランドマスターがマグナカイ探索を行う遥か以前に、これほどのことがあったのだ。まずそれを知らねばならぬ」
「善なる力が大きすぎるが故に、ロアストーンは絶えず悪を惹き寄せるわけだ」
「然り」
チバンは大きく頷く。
老魔術師の言葉は、俺自身、深く思い至るところがあった。
これまでのマグナカイ探索を思い返すだけでも、それは確認できる。


テカロの地下礼拝堂を守っていた古代の恐怖――
カザン・オードでロアストーンを利用していた悪しき支配者――
アガラシュ自身が残した悪の腐敗に飲まれかかっていたオライドの寺院――


闇の神ナールとその下僕は、一度はロアストーンを手にしたが、破壊には至らなかった。
だからこそ、彼らはロアストーンが人の手に渡らぬよう画策するのだ。
「ここタホウのロアストーン も同じなのだ。ブラック・ザカーンを知っておるね?」
「フェアの村の伝説なら聞いたが」
「360年前の大コーダイム戦争の折、ブラック・ザカーンがタホウに侵攻したのは事実なのだ、ローン・ウルフ」
その時、ロアストーンはタホウから失われたのだ……
語りながら、チバンは広げたタホウの地図の西地区にあたる、ある一箇所を示した。
「いいかね?『るつぼ』とは、深さ150メートルにも達する、巨大な漏斗型の縦坑―― 円筒状のシャフトなのだよ」
「まさか、ロアストーンが奪われることを防ぐために……?」
「伝説が正しければ、ロアストーンは戦争のさなか『るつぼ』に投げこまれ、今なお古代王国の廃墟ザーリクスに眠っている」
「その古代王国が、話にあったシンクス王国だということか」
地図の一点を指で叩きながらチバンが言う。
「『るつぼ』はここ、ドラゴン・スクエアに存在するが、大コーダイム戦争以来封印されており、誰も入れないのだ」
「その口調だと、タホウとザーリクスを結ぶ唯一のルートが『るつぼ』らしいな」
「その通りだ、ローン・ウルフ」
ナイゼーターの作りし叡智の結晶は、廻り廻ってナイゼーター自身の王国に戻ったことになる。
俺はそのザーリクス遺跡まで下り、ロアストーンを見出さねばならない。
「先ほど封印されていると言いましたね、我が師よ」
「そこが問題だ。『るつぼ』は360年間封印されており、タブー視されている。これを開く権限を持つ者はただ一人……」


「トルトゥーダ大統領のみだ」



【アクション・チャート 恐怖のるつぼ】  ローン・ウルフ 13人目(12度死亡)

能 力 値   .


・戦闘力点31(17点+2+2+10)  ・体力点29(22点+4+3)→今は20点。

・金貨26枚

マグナカイの教え(階級:プリンシパリン)   .


・動物コントロール 念波動 ・念波動 ・治癒術 ・上級狩猟術

・方向認知術

習得した伝授のサークル   .


・光のサークル(体力点+3

装備(武器 2つまで)   .

矢筒と矢(矢筒1つに6本まで)   .


・ソマースウォード(戦闘力+10)

・デュアドンの銀の弓(弓の射撃ボーナス+3)

・矢筒:有(1つ)   ・矢:残り4本

特別な品物(11個/最大12個)   .

ナップザック(8個まで 満杯)   .


・水晶の星型のペンダント

・銀の兜(戦闘力+2)

・盾(戦闘力+2)

・鎖帷子(体力+4)

・カルトの火の玉

・ダイアモンド

・火種×3

・紹介状

・預かり証




・濃縮アレサー(一時的に戦闘力+4)

・アレサーの実(戦闘力+2)

・ラウンスパーの薬(体力+4)

・食料×1

・銀の燭台

・銀のゴブレット

・水晶のデカンタ

・ロープ

遥かな地底へ封印された古代都市を求めて降りていく計画は、興奮と同時に戦慄を帯びていた。
1万年以上前の善なる都市が足下に眠っているのだ。
その遺跡は、今はどうなっているのだろう。
チバンが魔術筆記で大統領にあてた公式会見の請願書を書き上げ、使者を送りだす間、入念に装備を点検する。
請願書を送ったタホウの議事堂アナリウムでは、戦争に備えて今まさに緊急の評議会が開かれている。
一時間と待たずに返事が届き、、魔術師はアイスブルーの瞳を光らせて親書に目を通した。
「大統領は貴方の請願を聞いてくれるそうだ、ローン・ウルフ」
これを聞いてバネドンは喜ぶが、チバンの顔は暗い。
「私は、大統領個人との会見を望んでいたのだよ……ともあれ、事態はやや難しいことになった」
「俺が評議会に出席して陳情する形になった訳か」
「然り。そして『るつぼ』開封の可否はただ一度の投票で最終決定がなされる。議員たちの多数決によって、だ」
胃の腑が冷やりとする。
唐突に、チバンが何を言わんとするか理解できたのだ。
「つまりこういうことか。俺の請願がアナリウムで否決された場合……」
チバンは躊躇い、苦渋に満ちた顔で返答を寄越した。
「然り。『るつぼ』の封印は解かれず、未来永劫、ローン・ウルフがザーリクスへ辿りつくことは無い」



通過パラグラフ:(269)→208 治癒術の効果:+1点   現在の体力点:20点

(つづく)