ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ198→→→103:アジール:(死亡・12)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。


猟犬が2頭、礼拝堂の中央通路を小走りに駆けてくる。
よく訓練されているらしく、剣で武装した修道僧達が続いて現れるや、爪で敷石を擦りつつ停まった。
修道僧達は順番に長椅子を調べ、俺とペイドが隠れている場所に近づいてくる。
猟犬が侵入者の臭いに呻り声を上げた。


意識を集中し、常人には聴き取れない咆哮を発する――マグナカイの奥義の一つ、動物コントロールだ。
『俺 ノ 臭イ ヲ 無視 セヨ』
猟犬は立ち止まって、空腹の子犬のように憐れっぽく鼻を鳴らした。
矛盾する二つの命令に混乱し、苛立っているのだ。すぐに新たな命令を与えてやる――
『ソイツラ ヲ 殺セ』
憐れな鳴き声が憤怒の唸りに変わるや否や、2頭の猟犬はその主人達に襲い掛かっていった。
先頭の修道僧は恐怖の叫びと共に両手を上げ、後ろへと倒れた。
猟犬は次々と修道僧に飛び掛かり、喉笛を噛み切っていった。
予期せぬ事態に恐慌を来した修道僧達は、先を争って礼拝堂から逃げていった。


再びペイドを担いで礼拝堂の出口の扉を調べに行く――通り過ぎた祭壇に引っ掛かる何かを感じる。
この修道院同様、見掛け通りの祭壇という訳では無さそうだ。
燃える剣のレリーフの後ろの奥まった部分に、ペイドを横たえ、いざ本格的に調べようとしたその時――
偶然ペイドの上衣が、隠しレバーに引っ掛かり、そのまま体重で動かされた。
祭壇の床が激しく揺れる――やがて、地下へ続く階段が現れた。
いざとなればペイドを放置して単身安全圏に逃げる構えの俺だったが、格好の避難所の出現は渡りに船だ。
ペイドを階段の下まで引きずり、壁に凭せ掛ける。
祭壇の床はゆっくりと迫り上がり、元通りになった。
避難所は静寂に包まれている――相棒の浅い呼吸だけが聞こえてくる。
片方の瞼を開けてみると、巴旦杏型の瞳は大きく広がっていた。
相棒を横たえ、葡萄踏みの要領でリズミカルな蹴りを叩き込み、全身の毒を絞り出していく。
一見俺ばかりが楽しいようだが、カイ修道院に古来より伝わる由緒正しい解毒法なのだ。


通過パラグラフ:198→279→328→96→19→103 治癒術の効果:+5点   現在の体力点:10点

(つづく)