ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ227→→→335:眠れる狼:(死亡・11)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



死者を悼む気持ちとは別に、冒険者の流儀で倒れた戦友の所持品を引き継ぐことにする。
去ってしまった者たちから受け継いだものは、更に『先』に進めなくてはならないのだ。
タビグの所持品は以下のとおり。



乾燥食糧一食分
ロープ
ナイフ
青い錠剤入りの薬瓶
水の入った瓶
力の鍵


マグナカイの治癒術によれば、青い錠剤はボアリ・ジャングル特有のサビトの木の根を潰し、乾燥させたものだ。
この錠剤によって、飲んだ者は水中の酸素を皮膚を通して吸収することが出来るという。
薬瓶の中にある錠剤は一回分だ。


幾つものトンネルや部屋を、蜘蛛の巣を掻き分けながら進む。
マグナカイの治癒術が一呼吸ごとに傷を癒し、この時点で俺の体力点は完全に回復している。
二度ばかり黒い鎧を着た戦士が現れ、身を隠さなければならなかった。
ダークロード軍に仕える人間の戦闘民族――ドラッカーを思わせる戦装束だが、獣人の不自然なほど長い腕や尾は隠しようがない。
狭く蛇行しているトンネルの突き当たりは小さいが豪奢な一室で、壁には美しい織物が掛かっている。
引き換えそうとした寸前、要塞の上方部分は絶えず湿気があったが、この部屋では感じられないことに気がつく。
案の定ではあるが、部屋の片隅に秘密の扉を見つけた。


とは言え、まずは織物を調べる方が先だ。
金糸銀糸で巧みに織られており、宝石や貴石が鏤めれらている。
数千個の王冠に匹敵する代物だが、持って行くには少々嵩張るのは確かだ。
大きめのダイヤモンドだけを外し、カイ・マントの隠しに入れ、秘密の扉を出る。


遠くに微かに見える光を頼りに、暗い廊下を壁に沿って歩く。
突然の金属の軋る音に、背筋を凍りつかせつつも反射的に振り返る。
背後の扉の前に、漆黒の鉄壁が落ちてきた。
驚く間もなく、耳を聾する笛のような音とともに、奇妙な臭いが廊下を襲った。
それが強力な催眠効果のある気体で、床に穿たれた微細な穴から出てくると気づいた頃には、既に意識を失っていた。


(つづく)