ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

宿屋の親父

【パラグラフ232→→→パラグラフ219:宿敵との邂逅:(死亡・7)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



泊まる部屋を決めようとフロントに近づくと、旅館の主人が出てきた。
……!?


主人は太っていて、黒くて小さい貪欲そうな独特の目をしており、悪賢そうに笑った。
「あなたは運の良いお方だ。1つだけ部屋が空いています」


ラニス!?
王都ホルムガードにいたコラニスじゃあないか!?
自称『賢人にして薬草屋』の!?



常人離れした大きさの口といい必要以上に秀でた額といい……これはもうコラニス相当の悪人面、いやコラニスそのものだ。
いつホルムガードから引っ越してきたのですか?
あれか?
インチキ商売が露見してラストランドから逃げてきたのか?
紳士っぽく蓄えた髭とかそれ自体ゴミみたいな薄汚いハタキは変装の一環な訳か?
ンンー?
騙されないよう気を引き締めるが、幸い、この親父は悪人ではないようだった。
狼の危険センサーも特に反応なしだ(予知を身につけていれば、という選択肢があると、それは危険シグナルであることが多いのだ)。
俺が金になる客に見えたのだろう、舌なめずりをしつつ躙り寄ってくる親父に金貨3枚を払い、部屋の鍵を受け取った。
宿の心配も無くなり、ようやく食事を頼むことに。
目が合うとすぐに女給がやってきて、湯気の上がる何らかの肉の大皿を持ってきた。
金貨2枚を払い、気前良く盛りつけられた何らかの肉を貪り喰らう。
ハシュハシュハシュ…… おいちい!
ようやく人心地付いた―― と、その時だった。



突然、広間の扉がバタンと閉まる大きな音がした。
黒と金色の派手な衣装を着た、眉毛の濃い若い貴族が居酒屋へ入ってきた。

傲然と現れた若き貴族。
全身から滲み出ている、身分が下の者に対する侮蔑と悪意。
金のかかった服装も、それらを隠す役には立っていないようだった。
本来なら無視して飲み続けるところだが……俺は男の眼の奥に宿る残忍さと、病的な嗜好を現す何かが気になった。
そして秀麗な顔面を横切る醜い刀傷は、この男が修羅場をくぐり、生き延びてきたということを示している。
この邂逅が、ロアストーン 探索に影を落とし、狼との長い因縁をもたらすとは知る由もなかった――




通過パラグラフ:(232)→328→219  回復術の効果:+2点   現在の体力点:14点
(つづく)