ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ30→→→パラグラフ232:狼vs戦争の犬たち:(死亡・7)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



巧みな連携攻撃で全身に深傷を負った俺。
ただし脳内で。
現実の俺はと言えば、白目を剥いて直立不動で痙攣しつつ、アホみたいな量の鼻血を垂れ流しているのだ。
おまけに時折思い出したように「オゴ…ポゴ…」とか譫言を口走るときた。
傍から見ればさぞ奇怪な光景だろうことは疑う余地が無い。
閑話休題
これは拙い。
ズッコケ傭兵三人組は思いの外手強い。
リアルシャドーで脳を灼かれて死んでしまうかも……。
不穏な想像を振り払い、取り敢えず経過を吹き飛ばし、勝利後の報酬を確認する。
腐っても秘奥義。早送り巻き戻しは朝飯前だ。



旅館での揉め事はクォーレンでは日常茶飯事で……(中略)……
旅館の主人の息子が現れ、兵士たちの財布には手をつけずに、死体を川へ捨てるように指示した。
……(中略)……
足元に細い皮の筒が転がっている。中には金貨5枚 と南方の都市 テカロの地図 が入っている。

「たった5枚かよ!貧乏人が麦酒なんぞ飲んでいるんじゃあないぜッ!!!」
思わず気の利いた台詞を引用しつつ現実に返る。
三人の傭兵の怯えきった視線が俺に集中していた。
しまった……仮想空間に没入しすぎて我を忘れてしまったか……
というわけで話は振り出しに。
正直、この苛酷な戦闘の報酬が金貨5枚 とはしけているにも程がある。
しかもバレッタの地図ならまだしも、テカロの地図なんぞ拾ってどうしろと言うのだ。
妥協するのも癪だが、ここは仲良くなって情報を聞き出すか……
懐に手を伸ばし、そこで、思いだす。
城門で3枚 払ったので、今や金貨7枚 しか持っていないことを。



更に気まずい沈黙のあと、俺は覚悟を決めた。
椅子に傲然と座り直し、テーブルの上にブーツの脚を投げ出す。
「何してんだ……?早く払えよ…俺に奢ってくれるんだろうが?」
漲る殺気に広間が凍りつく。
口の端を歪めて猶も言いつのる。
「侮辱するのか―― なんて惨めな負け犬の台詞を吐くんじゃあないぜ」
顔に傷のある男が立ち上がり、叫ぶ。
「我々を侮辱す―― ハッ!」


いつの間にか、店内の誰もが固唾を呑んでこちらを窺っていた。
近くのテーブルにいた商人たちが傭兵隊長の血走った眼に射すくめられ、慌ててスープ皿を手に避難する。
同時に残りの2人がテーブルを蹴飛ばし、椅子を支点に筋斗を切った俺目掛け殺到してきた。
「かかれ!」



バレッタの傭兵たち 戦闘力点26 体力点35


マグナカイの念波動まで含めて戦闘比−1。既に不利を知っているだけに動揺はない。
手練れの戦場の犬相手に為すべきことは、ひたすら無心に武器を(乱数表を)振るうことだけだ――



2度ほど鍔迫り合い、白刃を六尺棒でいなす(数字同士の境界線で乱数表振り直し)。
敵の連携が一瞬崩れた隙を狙って隊長の顎を叩き割り(乱数表0)、
左右からの斬り込みに軽傷を負いながらも、胴を薙ぎ払って1人を打ち伏せる(乱数表8)。
直後、真っ向から斬り下げられて肩口を負傷したが(乱数表3)、
棒を支点に逆立ちし、続く一撃を回避する。勢い余って蹈鞴を踏んだ兵士の頸骨を蹴り折った(乱数表7)。
着地を狙われ痛打を喰らうものの、すかさず六尺棒で最後の1人の喉笛を貫き通す(乱数表2)。
血飛沫を吐き散らし、敵は昏倒した。


……5ターンにわたる死線。
俺のダメージは念波動の消耗で2×5=10点+12点の負傷。
結果、残り体力は10点
……マグナカイシリーズの緒戦にしては及第点と言ったところか。
大立ち回りを見物していた客たちもすぐに散っていった。
こうした諍いが日常茶飯事なのだろう。
居酒屋の主人の息子が台車とともに現れる。
「すいませんすぐ片付けますんで」
彼は忍び笑いをしつつ、傭兵たちの死体を川に捨てにいった。
一騒動ののち、足元に転がってきた皮の筒を拾い上げ、金貨5枚 テカロの地図 を手に入れる。
地図の代わりにナップザックから食糧を一食捨て、荷物を整理した。
さて。
今夜の宿を決めておくか。




通過パラグラフ:30→(159傭兵とのバトル)→48→232  回復術の効果:+2点   現在の体力点:12点
(つづく)