ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ375→→→パラグラフ313:逃走の空:(死亡・5)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



一撃目は乱数表で「8」。
戦闘比+4ともなれば半端ない痛撃だ。敵から12点を根こそぎ奪う。
続けざまに「3」、「7」で戦闘終了だ。
俺の喰らったダメージの合計は、普段ならどうってことのない4点。
だというのに――
その4点があまりにも重い。
舌打ちをしつつ、何気なく次の選択を読んだ俺は愕然とした。


戦いに勝ったら、塔の中に入る。396へ。


……直前に回避した筈の塔への道が、再び俺を誘う。
逃れる道は無い。
パラグラフの指示に従う他無いのだ。


塔に入り、カイの第六感に従って最上階に逃げる。
だが、このままでは逃げ切れないことも、俺は既に知っている。
一縷の望みを抱き、前回とは違う選択を選んでいく。
だが1つ2つの選択肢ではこの流れは変えられず、再びあの頑健なドラッカーが襲ってきた。



ドラッカー 戦闘力点17 体力点35


戦闘比は圧倒的有利な+8。
しかし、狼の残り体力もまた8点。
万が一に備え、最後のラウンスパーで体力を12点まで取り戻し、猛攻をかける。
3撃目で「0」、クリティカルをドラッカーに叩き込む。
幾ら頑健だろうと、頭蓋と胴体が泣き別れになってしまえば関係無い。
ハンマーにこびり付くドラッカーの残骸を床に投げ捨てる。
……掠り傷で負った−3点は、幸運か、不運か。
いずれにせよ銅の鍵 を死体から奪い、今度は墜落ではなく自分の足で塔を急ぎ下りていく。
ドラッカーと宮殿衛兵の第二陣が橋を渡ってくるが、先んじて一階の詰所まで到達した。
詰所に人影は無く、炙っている鳥肉の脇に水筒 幅広剣 がある。
階段を降りてくる音に急き立てられ、水筒 を拾い上げて庭園の門を目指す。
銅の鍵 で門を開け、急いで庭園に入る。
重い扉が閉まると、矢の雨を受けた鉄板がまさしく五月雨のような音を立てた。
再び走り出した俺の目前には植物園とザカーンの私室への道が広がっている。
ボルダグとの再戦は御免なので、今回は並木道を進んで階段を上がっていく。


扉から宮殿に戻ると同時に、ドラッカーの一軍が上階から怒濤の勢いで押し寄せてきた。


重厚な鎧を軋ませ、獰猛な雄叫びを上げつつ突進していくドラッカーたちを隠れてやり過ごす。
暫くして、俺は逝去したばかりのザカーン・モウダラの彫像の陰から出た。
恰好の隠れ場所を提供してくれた前皇帝の太鼓腹に静かに感謝する。
階段を昇って跳ね上げ戸から屋根に抜け、黄金の円蓋や尖塔を縫って伸びる舗装路を身を低くして進む。
正直、終わりの無い逃亡劇に疲弊しきっていた。
「マグナカイの書」と繰り返すハーコンの呪詛が耳に谺し続け、気力も限界まで削られている。
ふと夕陽に影を伸ばす鐘楼へと目を向け……俺は脱出路を見出した。
陸路が駄目ならば空。
バサゴニア人が使う獰猛なる空の乗騎。
ルアノン篭城戦でバサゴニアの隊長が騎乗していた巨鳥……イチカーの乗降台だ。

(つづく)