ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ71→→→パラグラフ179:死に至る病:(死亡・5)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



公衆浴場を抜け、マオウクの手下に注意しつつミカルム街へ向かう。
ミカルム街は、香辛料や薬草を扱う商人たちの地区だ。
ワクワクドキドキしつつ足早に歩く。
……果たして、その期待は裏切られなかった。



バー・ダー・マソウン/薬草夫人


薬草夫人。
言うなればマダム・ハッパ。
何だか知らないがどてらいトリップ感を秘めたお名前。
しかも選択肢がこんな感じ。



・エデの薬草が必要なら68へ。
・エデの薬草は必要ないが、店に入りたければ。154へ。
・宮殿に向かう路地を進みたければ、179へ。


キタ―――ッッ!!
これだぜ!
こいつを待っていたんだぜ―――ッ!!!
エデの薬草 が必要ですかって?
必要でございますともよ!それが欲しくて下水道にも潜ったんだよォ―――ッ!!!
喜び勇んでパラグラフ68へ突き進む。
さあ売ってくれマダム!
伝説のハッパ、エデの薬草 をよォ……!


(中略)……ひんやりした店の中に入った。
力なくだらりとたれさがった腕は青くなっている。恐怖感がよみがえった。


「!?」
呆気にとられる。
驚いて腕を見る。
当たり前だが頗る健康、両腕ともにノーダメージだ。
この本文は何を言っているのか?
飛び先を間違ったかと思ったが、完全に正しい。訳も分からず先を読む。


この病気を直すエデの薬草をみつけなければ、腕を失ってしまうばかりか、
命まで落としかねない。


……まさか。
暫くして、俺は状況を理解した。
この選択肢は「エデ が欲しい」人じゃあない。
エデ が必要な病に感染した」人をそれとなく誘導するパラグラフなのだ。
この4行を読むかぎり 『病気イベント』に類するものが何処かで発生するのだろう。
どうやら前触れも無く空気感染らしい。
英国人にしては下手な誘導だと思う。
「いいハッパがあるけど必要かい?」の問いに対する、答えは「必要だ」に決まっている。
………まあいい。
気を取り直し、「エデの薬草は必要ないが、店に入りたければ」の方に進み、店内に入る。
窓際には様々な薬草、薄暗い店内には色とりどりの薬瓶が並ぶ。
「いらっしゃいませ、北方の方。貴方は戦士とお見受けしますが、違いますか」
おお。慧眼。
まさにハルキばりの洞察力。脳がクロックアップしているとしか思えない。
するとこの女性がマダム・ハッパなのだろう。
早速ソマーランド語の値段表を見せてもらう。




 アレサーの薬(一時的に戦闘力+2)金貨4枚 

 ガロウブラッシュの薬(1、2時間眠らせる) 金貨2枚

 ラウンスパーの薬(体力点+4)金貨5枚

 ラーヌマ油の薬瓶(体力点+2)金貨3枚

 グレープウィードの薬(病気を引き起こす。体力点−2)金貨1枚

 カラセナの薬(幻覚を引き起こす)金貨2枚



何というかチンケな……と言っては悪いが、何処でも売ってそうな薬ばかりだ。
「あー…マダムマダム。ハッパこれだけ?」
「これだけですが、何か?」
不審そうなマダムにエデについて訊ねようとする。
……しかし、昔遊んだことのある俺は5巻でエデが手に入ると知っているが…。
狼はそんなことを知らないので、そもそも選択肢が発生しないのだ。
実際、俺自身も入手方法は思い出せない。
「いや……何でもない……あばよ!いい夢見ろよ!」
微妙に購買意欲を削がれ、それでも貴重なアレサーの薬 2つとラウンスパー 1つを買って店を出た。

(つづく)