ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ285→→→パラグラフ387:逃亡(第二部):(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



バルコニーを抜けると、逃走路が分かれた―― 登り階段とアーチだ。
ずっと上から降りてきたのだから、戻る必要は無いだろう。
迷わずアーチへ飛び込む。
唐突に、衝撃が襲った……出会い頭に黒服の宮殿衛兵と鉢合わせしたのだ。
肋骨を強打し、バランスを失って壁にもたれ掛かる。
床に倒れた衛兵は、倒れた勢いのまま、信じ難い速度で斧を俺の脚に振り下ろした。
乱数表を指し、カイの狩猟術の力で+2を加える。
合計が5以上なら回避できるはず……
……だが、無情にも数字は「2」。



脹ら脛に深々と刃が埋まっていた。
激痛で 体力3点 を失う。
咆哮とともに引き抜いた斧を衛兵の胸郭に叩き込み、片脚を引いて走った。
既に追っ手は、足音が聞こえる距離まで近づいている。
宮殿中の衛兵やドラッカーが俺を探している。
逃がすことは彼らの命に関わるため、文字通り必死なのだ。
暗い通路の先の扉を抜けると、夕陽の差す小さなテラスに出た。
夕陽とはいえ、バサゴニアの苛烈な陽光に一瞬視界を灼かれる。
針のように細く優美な白亜の塔と宮殿を繋ぐ橋が延び、橋の袂からは庭園へと階段が降りているようだ。
急いで橋を渡り、小塔に飛び込んだ。
冷涼な大理石の塔内には踊り場から上下に螺旋階段が延びている。
遠くから足音が近づき、思わず階段を下りかけた俺をカイの第六感が押し留めた。
この音は、一階の詰所から上がってくる衛兵のものなのだ。
逃げ場を求めて振り向くが、ドラッカーの一隊が今しも橋を渡り始めたところだった。
残された道は上のみ。
螺旋階段は長く傾斜も急で、息を喘がせながら登っていく。
ドラッカーは既に背後まで迫っていた。
最上部のアーチ型出口から飛び出すと、塔と塔の間で使う連絡用の巨大な太鼓が置かれた台が目に入った。
そして、ここが逃走経路の終点だった。
咄嗟に銅製の太鼓に体当たりし、台の上から階段目掛けて突き落とす。
鈍い響きに無数の悲鳴が折り重なった。
重い太鼓が螺旋の暗闇を転がり落ち、圧倒的な重量でドラッカーたちを挽き潰したのだ。
だが、周囲を見回し、俺は罠にかかったことに気づく。
今の物音は確実に敵の注意を引いただろう。
この最上部から脱出可能な新たな階段などは無く、今の足止めも所詮一時凌ぎでしかない。
ロープでもあれば外壁を降りて逃げられたのだが……。
もっとも、この高さからでは地上まで届くかどうか疑問ではあるが。
絶望を更に深めるかのように、屈強な敵が上がってきた。



ドラッカー 戦闘力点17 体力点35


敵の体力点35。
戦闘比-1の戦闘においては、体力が30点を越える敵はタフネスで遙かに俺に勝っている。
温存していた21点の体力点が、みるみる削られていく。
戦闘力は五分と五分、したがって体力の無い俺の方が追い込まれていくのは必至なのだ。


戦闘から逃亡するには、30メートル以上下にある庭に飛び降りるしかない。


しかも、扱い慣れぬバシュナのナイフ のせいか、クリティカルが出てくれない。
4回戦を生き抜いた時点で俺の体力は10点を切り、対して敵はまだ15点も残っている。
アレサーの薬を使っておくべきだったか、などと悔やんだところで遅い。
一か八かの賭に出る他はなさそうだ。
ナイフで牽制をかけておいて……逃走時の追撃判定は0、クリティカル攻撃+回避だ。


俺は塔の手摺へ三角飛びの要領で駆け上がり、虚空に身を躍らせた。


通過パラグラフ:(285)→381→368→396→266→322→329→387(戦闘)→  回復術の効果:+6点   現在の体力点:9点
(つづく)