ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

だめだめだめ!

【パラグラフ138→→→パラグラフ102:暴力脱獄マニュアル:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



扉が開くと同時に渾身の虎拳を叩き込む。
一人目の看守は剣を落として廊下の壁まで吹き飛んだ。
「う、動くなァァ!」
「野良犬相手に表道具は用いぬ」
藤木源之助ばりに傲然と嘯く俺の足元に、その看守の剣が転がってきた。
おお!
千載一遇のチャンスだ!
ここしか無いッ!
俺の勝機はここにしか無いッッ!!
使わぬといった表道具めがけてルパンダイヴの要領で飛びつき、猫のように一転して剣の柄を握る。
頭上を二人目の斬撃が薙いだ。



宮殿の看守 戦闘力点14 体力点21
看守の攻撃をかわせたので、一回戦に限り、失う体力点を無視してよい。


文字通りの死闘だった。
剣を手にしてようやく俺は戦闘力10点。
実に、戦闘比−4という弱さなのだ。
乱数表は1・6・6・ついで3。
不幸中の幸いか、回避した敵の初撃はクリティカルだった。
喰らっていれば、こっちのダメージは一気に+6点、生死の境を彷徨うところだ。
斬りあいはほぼ互角、三合目で深手を負わされ、ようやく次で8を叩きだし敵にとどめを刺す。
とはいえ、この時点で 13点 の負傷を負い、残り体力は 7点
しかも、戦闘が長引いたせいで最初の1人が立ち直り、ブーツから抜いた投げナイフを放とうとしている!
咄嗟の判断で、投げナイフを持った手首めがけ念撃を叩き込む。
「!!」
看守は声にならない悲鳴を上げ、手の感覚を奪われ、武器を落とした。
すかさず飛びかかり、背後から首を締め上げる。
「これから簡単な質問をする。嘘をついたり答えない場合、首をへし折る」
「わ、分かった、知ってることは全部話すから……」
看守は素直に情報を語りだした。
いわく、



一、新しいザカーンは俺のことを某所から送りこまれた暗殺者だと思い、恐れている。
一、看守自身は新しいザカーンが嫌いだ。
一、自分は只の看守だから、これ以上知っていることはない。


そして案の定、既にこのゲームのお約束となりつつある。 『第六感を身につけていれば』 の選択肢。
看守の思考が手に取るように理解できる。
彼は嘘をついている。
いつでも仲間が助けに来ると知っているのだ。
少しでも手を緩めたら、看守はすぐに俺を取り押さえ、仲間を呼ぶだろう。



・質問を続けるか。9へ。
・看守を殺すか。78へ。


俺は酷く残忍な気分になっていた。
素直に質問に答えるなら、牢屋に放りこむ程度で済ませても良かったのだ。
だが、この軽薄な看守は俺を罠に嵌めようとしている。


だめだめだめだめだめだめだめ!
君は死ななくてはならないんだ……目撃者は生かしておけないよ……!!
誰ひとりとしてこの『狼』の正体を知る者はいてはいけないんだよ………!!!


「……当て身」
素早く致命的な一撃を首に加え、死体となった看守を放して立ちあがる。
追記するなら、首を絞めていたにもかかわらず狼の一撃はゴルゴチョップだった。
英国人(原作者)は昔から空手チョップが大好きなのだ。
2人の体を探ると次のアイテムが手に入った。


・金貨6枚 ・ナイフ ・剣 ・戦闘用ハンマー ・看守の鍵(特別な品物)


武器と鍵をベルトから吊し、死体を牢に押し込むと施錠して発覚を遅らせる。
どうにか自由の身となり、俺は宮殿の牢獄をあとにする。
今となっては平和条約の締結など望めないだろう。
一刻も早くバラキーシュを脱出し、祖国ソマーランドに戻らねばならない。



(つづく)