ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

バシュナの従者たちが寺院に入ってくる

【パラグラフ249→→→パラグラフ296:暗黒の祭壇:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



地下寺院の内陣を目の当たりにし、カイ戦士としてのすべての感覚が、この場から去るべきだと絶叫していた。
邪悪のなかの邪悪。
至る処からダークロード・バシュナの存在を感じるのだ。
溶けた金属の入った大きな火鉢が、祭壇に横たわるバナランド男爵の美しい令嬢…マデロンを照らしだす。
気絶している彼女の呼吸は緩やかで浅い。
祭壇の更に奥には、頭蓋骨の彫刻を施された巨大な観音開きの黒い扉がある。
そこまで見てとった時、赤い僧衣を着た司祭の行列が入ってきた。
フードで顔を覆ったバシュナの従者たちは、奇怪な黒石の護符を娘のまわりに置き、再び何処かの扉から帰っていった。
遠くから狂気じみた打楽器の音色が鳴り始め、次第にその音が大きくなっていく。
長靴の拍車を響かせ、遂に……バラカが現われた。



人肉を喰らうマッケンの爬虫類ゴウルガズの皮で作った長靴は膝上まで達し、それと分かる屍臭を放っていた。
重々しく石の扉を閉じ、やがて祭壇の奥に向かうと頭蓋骨の彫られた黒い扉を押し開ける。
すると突風が寺院を吹き抜け、死者の絶叫に耳が張り裂けそうになった。
扉の先には石の支柱があるだけで、その向こうには渺々たるマッケンゴーグの深淵が広がっていた。
思わず目を見開き、運命の峡谷を覗き込む。
この寺院はマッケンゴーグの谷壁に接して作られていたのだ。
祭壇に向かったバラカは、隠しの鞘から捻れた奇怪な形状のナイフを抜き、黒い刀身を高く掲げた。

邪悪な蒼い炎が黒い刃を駆け上り、冷たい風の中で揺らめく。
生贄の儀式がクライマックスを迎えたのだ。



残る力をかき集め、二口分のラウンスパーを飲み干す。
これで 体力は18点
対決には十分だ。
マッケンゴーグの悪霊どもの絶叫を遮り、低い声音で告げる。
「刃を退け、バラカ」
「……死に損ないの狼か」
陰々たるバラカの声は地下寺院に谺し、冷気さえ伴っているかのようだった。
邪悪な蒼炎の迸るナイフを手に近づいてくるバラカを、娘の眠る祭壇から引き離すべく回り込む。
「貴様如きに何が出来る、狼」
「知れたこと……お前に痛みを与えにきたのだ!!!」
「………………面白い!!!」
鬨の声に応じ、俺はソマースウォード を抜き放った。
今こそ、地獄の焔と黄金の陽光が激突する―― !!!

(つづく)