ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

潰走する敵

【パラグラフ249→→→パラグラフ137:ルアノンの戦い・その6・決着:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



味方の窮地に気づき、頭を低くして防壁まで走った。
死んだ兵士の手から弓をとり、矢を番える。
標的は背の高い鷲鼻の指揮官だ。
バサゴニア人の指揮官は、部下を石の監視塔へと呼び集めている。
敵が集結する前に彼を殺さねば、劣勢のデュバル隊長は監視塔から引きずり出され、殺されてしまうだろう。
彼我の距離は弓の有効射程ぎりぎり、しかも一撃しかチャンスは無い。
乱数表は「0〜3」「4〜7」「8〜12」。
武術を身につけていないので、+3の効果を得ることはできない。
運がすべてだ。
こういうシーンこそ華麗に決めたい。
太陽よ、俺に 見 せ 場 を!!



……矢は音を立てて飛んでいき、山賊のリーダーの肩のあたりに突き刺さった。
(中略)……傷が深いにもかかわらず、山賊のリーダーは手下を呼び集めようとしている。
君は矢をもう一本放とうとするが……矢筒は空だった。

中途半端な見せ場だった。
何だこのモニョモニョした感じ。
一撃で決めろよ俺ェェ!
俺に気づき、馬を下りたバサゴニア騎兵二人が邪魔に入ってきた。
仕方なくその場を逃れ、屈強のソマーランド軍曹が守る大きな水樽の方へ走った。
「敵の指揮官を狙え、軍曹!!」
放たれた矢は立ち籠める煙の中にもかかわらず精密な弧を描き、指揮官の心臓を貫いた。
二、三度瞬きし、指揮官が馬から滑り落ちていく。
「こっちだ!!」
戦場の喚声を圧してデュバル隊長の声が響いた。
期せずして、敵の指揮官と同じことをデュバル隊長も考えていたのだ。
「ソマーランド軍は私のもとに集結せよ!!」
勇敢な隊長は兵を従え、自ら騎兵隊の側面に切り込んでいく。
顔面から流血しつつバサゴニアの伝令が退却を叫ぶと、怒号と混乱が湧き起こった。
総崩れとなったバサゴニア騎兵たちは、恐慌の余り応援にきた味方を踏みにじりながら敗走していく。
デュバル隊長の号令一下、弱体化した歩兵に一斉に矢が浴びせかけられ、これが勝敗を決めた。
苦しく長い篭城戦……
しかし、俺たちは、遂にこの局面を乗り切ったのだ。
勝利の鬨の声が、逃げていく敵の背中を追って、ルアノン平原に繰り返し轟き渡った。


「ソマーランドのために!!ソマーランドのために!!」

(つづく)