ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

デュバル隊長に剣を渡す

【パラグラフ327→→→パラグラフ289:ルアノンの戦い・その1:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



あまりにも圧倒的な数の敵が、ルアノン平原に集結しつつあった。
迎撃に向かう前に一言だけデュバル隊長を引き止める。
「忘れ物だよ、隊長」
仮留めの鞘から抜き放った見事な意匠の剣の柄頭を差し出す。
言わずと知れたデュバル隊長の剣 だ。
驚きと喜びの表情を浮かべ、隊長はまじまじと剣を見た。
「この頼りになる剣に再びお目にかかれるとはな。運が向いてきたぞ、ローン・ウルフ」
「俺が来ると士気が高まるって言ったのは、アンタだぜ?」
互いに顔を見合わせてにやりとし、デュバル隊長に続いて監視塔の広い階段を駆け下りていく。
激戦が予想される中、厳しい数値だが、戦闘中に適宜回復を図ることとし、今は回復薬を携帯するに留めておく。
今の 体力点は9点
ここから、死を賭した苛酷な戦いが始まる――



防壁の外に飛び出すと遠雷のような音が平原に響いた。
敵の騎兵が続々と隊伍を整えていく。
見渡す限り山賊――バラカの私兵集団が、平原を埋め尽くしていた。
「何てことを!」デュバル隊長が叫び、歯軋りした。
「奴らはルアノンの人々を盾に使っている!!」
鮮やかな赤い鎧の騎兵たちは、怯える人々を小突き、自陣の前に並べて迫ってきた。
弓兵は攻撃の合図を待つが、デュバル隊長は躊躇っている。
突然、隠されていた敵の投石器から黒い塊が発射され、防壁の頭上で破裂した。
燃える油が降り注ぎ、炎が消える前に多くの兵が火傷を負う。
兵は散り散りになり、防壁は今や手薄だ。
敵軍から鬨の声があがり、押しのけられたルアノンの人々は、バリケードへ突進する山賊に踏みつけられた。
襲撃に備える……その時、デュバル隊長の声がした。
「助けてくれ、ローン・ウルフ!」
振り向くと、隊長の服にも火がつき、全身が燃え上がっている。
アンタ何やってんだー!?

(つづく)