ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

デュバル隊長はたてつづけに獣を射殺す

【パラグラフ20→→→パラグラフ116:ルアノンの再会:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



乱数表の数値は1。
生か死か!



間に合わない。
風を切り、正確な矢が眉間へと飛ぶ―― !!
「ギャァァァァ!!!!!」
苦悶の絶叫が口をつく。
額を射抜かれ、手から武器を取り落とし、俺は、――




ずるずると崩れ落ちていく射手を見守った。




顔を上げると、防壁の向こう側から弓を手にした男が走ってきた。
片手に盾、片手に長弓を携えた精悍なシルエットは馴染みの顔。
永年の戦友、デュバル近衛隊長だ!
「デュバル隊長!!」
息を切らしていたが、彼は口の端に笑みをうかべた。
俺の傍らに跪き、次々に矢筒から取り出した矢を番える。
狙っては放ち、すぐに構えてまた放つ……
一撃ごとに獣の悲鳴があがり、死体の間を密かに迫っていた戦闘犬はすべて息絶えた。
まさに見敵必殺。
実に8頭もの戦闘犬を逃さず一撃で仕留めたのだ。
すべての矢を打ちつくした隊長が俺の腕を掴んで抱きかかえ、防壁へ引き返す。
他の味方も助けにやってくるが、すぐ近くまで迫っていた山賊の赤い矢に押し戻された。
あらゆる方向から敵の矢が降り注ぎ、辛うじて防壁に俺を担ぎこんだ隊長は蹌踉めいて倒れ、部下の介抱を受けた。
髭面の兵士―― 歴戦の騎兵たちだ―― が輪になって俺を見下ろす。
「ここは安全です、カイ戦士。どうか気を楽にして傷を癒してください」
「何、大した怪我じゃあない―― アオオーッッ!!」
激痛で人語を失う。
気が逸れた刹那、兵士が手際よく貫通した矢を引き抜いたのだ。
感覚の麻痺した脚に片手一杯のラウンスパーを塗り、兵士が言う。
「幸運ですよ、カイ戦士。傷口は綺麗で出血も少ない」
「……幸運なのは結構だが、せめて抜く前に一声掛けてくれ」
「ローン・ウルフのリアクションはある意味貴重だぞ、お前ら」
「何?今のリアクションもしかして美味しかった?」
ようやく死の恐怖が薄れていく。
体力点4点を失ったが(残りは9点だ)、生き延びることができた。
隊長と二人、担架で石塔へ運び込まれる。

(つづく)