ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ115→→→パラグラフ118:開かずの扉:(死亡・4)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「いやァァ大満足でしたよォォ!ナインさんダローさんご苦労さん」
「……」
「オヤオヤどうされましたか?そんな疲れ切った表情で」
感極まって猫撫で声のフリーザ様口調な俺に敢えて反論せず、黙々と隊員がボートを岸に引き揚げる。
だってほら……仕方ないじゃない?
俺、御歳とって17歳のハイティーンなんだから。
グーニーズっぽい冒険とか大好きオコサマ仕様。
ぶっちゃけ正義は余暇ですから。
……何の話してたんだっけ。



1キロばかりボートを漕いだところで、狭い洞窟に辿り着き、そこで上陸する。
隊員が錆びた鉄の輪にボートをもやい、俺を先頭に花崗岩の階段を昇って石棚へと出た。
前方の暗闇から蒸気が出るような音が2〜3秒響き、鞭の音と罵声が聞こえて、急に止んだ。
次の瞬間、俺は狼に戻っていた。
どうやら鉱山の中心部……ルアノン近辺に近づいたようだ。
腐りかけた鼠の死骸が転がるトンネルに踏みこみ、骨を踏み砕く音に怯みながらも慎重に進んでいく。
トンネルは急に東へ曲がり、松明の光が岩壁に反射する。
素早く前方を覗いた―― が、どうも様子がおかしい。
鎧を着た二人の山賊が、トンネルの広い部分に掘った井戸を見張っている。
予想に反し、働かされる捕虜もトロッコも無い。
無言でサインを出し、隊員に急襲させた。
まさか川から襲われるとは思わなかったのだろう。
彼らが剣に手をかける間もなく、隊員が見張りを殴り倒す。
「始末しますか、カイ戦士?」
「いや」
喉元に剣を突きつけられた見張りの表情を見て命令する。
「今はまだ殺さない。二人を縛りあげろ」
無論温情などではない。
有益な情報を引き出すためだ。
早速メルニボネの白い狼も驚嘆するだろうスペシャルな尋問を開始したが、見張りは蒼白になりつつも何も答えない。
俺の芸術的な拷問よりも、裏切った場合の報復を恐れているのだ。
リーダーは俺が殺したよと何度説明したところで納得しない。
仕方ないので見張りの所持品すべてを奪う。



・金貨4枚  ・槍  ・幅広剣  ・鉄の鍵
・真鍮の鍵  ・赤い液体の薬


赤い薬はラウンスパーの薬(体力+4) だ。
しめしめと武器以外の全部を頂く。
立ち上がって周囲を見ると、井戸の傍の北側の壁に大きな鉄の扉があった。
その脇を、螺旋階段が上下に続く……これでピンときた。
こいつら―― 井戸を見張ってたんじゃあない。
見張っていたのはその前にある鉄の扉だ。
しかもお誂え向きに鉄の鍵 まで持っているときた。
こいつは調べない訳にもいくまい。
いそいそと鉄の扉へ近寄っていく。



このとき、俺はお宝の夢ばかり見てないで、見張りの顔をしっかり見ておけばよかったのだ。
―― その顔に浮かぶ 恐 怖 の 表 情 を。

(つづく)