ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

死体は喰らい尽くされていた

【パラグラフ312→→→パラグラフ120:惨禍の谷:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



「大丈夫ですか、ローン・ウルフ。かなり出血していたようですが」
「心配ない」
馬上に揺られつつ、俺は回復術の力で緩やかに全身の傷を治療していった。
初めて使うカイの教え―― 回復術。
戦いにならないパラグラフを通過するごとに体力点を1点取り戻す ことができる。
冒険中あちこちに首を突っ込むほど、カイの教えにより調べられる項目が増えるほどに、失った体力が回復していく。
カイの回復術こそ、カイ戦士の切り札とでも言うべき教えなのだ。
既に山賊との戦いから1パラグラフ進んだので1点取り戻し、 体力点は16点 だ。
今後はリプレイ末尾に体力点の得失を記していくことにする。



旅の途中で乱数表を求められ、6を出たので「3〜9なら」の指示に従う。
……どうやら、洞察力のチェックだったらしい。
4時間ほど進んだところで、俺は遠くの尾根を舞う、無数の黒い鳥影を目にした。
カイの動物語の知識から、それがワイルドランドの空の掃除屋、屍肉喰らいのハシボソガラスだとわかった。
荒野で動物が死ぬと、必ずこの鳥を目にするのだ。
だが。
それにしても……あまりに数が多すぎないだろうか……?
嫌な予感に駆られた俺は街道を外れ、尾根の頂上まで斜面を登っていき、眼下の谷を見下ろす。
居並ぶ隊員の口から、隠しようもない驚愕の呻きが漏れた。





尾根と尾根の境に、あまりにも無造作にばら撒かれた累々たる人馬の屍。
あらかた喰らい尽くされた白骨の山は、すべて 近 衛 騎 兵 隊 の 制 服 をまとっていた。




騎兵隊の白い制服に混じって山賊らしき死体もあることから、彼らは激戦の果てに殺されたのだろう。
その数、実に 4 0 人
一ヶ月前ホルムガードを発った勇敢な騎兵隊のほぼ半分がここで壊滅したこととなる。
選りすぐりの精鋭を圧倒したということは、少なくとも昨夜のような山賊が百名、いや、その2倍以上はいたに違いない……
ルアノンで今、何が起こっているのか。
山賊たちを背後で操る者がいるのだろうか。
俺は、薄ら寒い戦慄を抑えつけるのでやっとだった。
隊員たちとともに、のろのろと遺体を埋葬し、それが済むと死の谷をあとにする。
「……デュバル隊長は、あの中にいませんでした」
「そうですとも。大丈夫、自分は近衛隊長が生きていると固く信じております」
副官二人の励ましにも、俺は返事を返せなかった。



――腰に吊るしたデュバル隊長の剣のことを、言えるはずもない――



通過パラグラフ:51→227→328→  回復術の効果:+3点   現在の体力点:19点
(つづく)