ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

ラガドーン

【パラグラフ11→→→56:3つの質問:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



俺の疑惑はシンプルなものだ。
この要塞では、すべての部屋の扉がレバーで開閉する。
そして、この部屋の内側にレバーはない。
つまり、ボナターがわざわざ魔力を費やして結界を張る必要など何処にもないのだ。
ならば、なぜこの男は、そこまで厳重に拘禁されているのか……?


ラガドーンに関する質問は、なるべくシンプルなものがいいだろう。
あの街を旅した時の記憶を思い出しつつ考える。

・今の君主が誰なのか。
・ラガドーンの中央を流れる川の名前は何か。
・あるいは、ろくでなしの集まるバーナクル街の名物居酒屋の名前か。

すぐに思いつくのはこの3つぐらいだな。
タイゴン。第一問だ」
「はい」
「……ラガドーンの街を東西に分けて流れる河の名前は?」
住人なら分からないはずがない。
質問としてはある意味もっとも稚拙で、正解したところで彼をすぐに信用できないが……








「 ラ ガ ド 河 、 で す よ 」
そ い つ は俺の目を見つめ、はっきりと、そう、告げた。






……………………唐突に、寒気を感じた。俺はもはや、何も答えなかった。
扉を閉め、レバーを戻し、足早にその場を立ち去る。
廊下を歩きつつ考えた。
一体、 あ れ は何だったのだろう―― と。



しばらく進むと、今度は廊下の西壁に、扉に覗き穴のある部屋があった。
どうやらこの一帯は監獄のようだ。
覗き込むとそこは独房で、老人が隅で体を丸めている。
顔や髪は血と泥にまみれ、着ている長衣も色褪せて三日月や星の刺繍が擦り切れていた。
先程の恐怖体験のせいで、正直気が進まない。
だが、俺の目を引いたのは、魔法使いとおぼしきその衣装だった。
彼が魔法使いならば、ボナターについて何か知っている可能性がある。
扉を開けると、老人はゆっくりと身を起こした。

(つづく)