ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

動く彫像

【パラグラフ264→→→150:解き放たれた悪魔:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



こんな時に最適な言葉がある―― ゴー・加藤が演じたことで有名な、コンバット越前守の名文句だ。
根拠の無い決断を下す時、どれだけこの言葉に勇気づけられたことか。
というわけで。
「折角だから、俺は石英の床の上を歩くぜッッ!!!」


石英の床に足を乗せると、足の裏から膝へ振動が伝わってきた。
足下にはぼんやりした明かりが点滅し、振動は祭壇から伝わってくるようだ。

ゴゴゴゴゴゴ............



動揺を抑えて何気なく進む。


10歩も進まぬうち、空気を引き裂く鋭い音とともに青い稲妻が疾った。
すると、祭壇の白い彫像が稲妻によって生命を得たかのように動き始める。

「なァァンですとォォォォ!!!!」



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ。。。。。。。。。。。。。。。。。。



最早俺は間抜けなカモそのものだった。ネギを巻いた首まで罠の中だ。
素早く行動し、状況を打開するしかない。
だが逃げ出すのはお断りだった。
俺のいわゆるひとつの動物的勘が、祭壇から古代のお宝の匂いを感じとっているからだ。
ならばここは一つ……速攻あるのみ!!
祭壇までの残りの距離を一気に詰め、擦れ違いざまに彫像の胴を存分に薙ぎ払う。
完璧な斬撃が、一閃で彫像を打ち砕く!!
―― 次に起きたことは、何もかも、すべてが想定の範囲外だった。
ひび割れた彫像から轟音とともに冷気が噴き出し、たちどころに地下神殿全体が輝く薄氷に覆われた。
冷気は 小 さ な 竜 巻 に変わり、石や壁から剥がれ落ちた氷を中心に吸い込みだす。
この瞬間、俺は致命的なミスに思い当たる。


天井と壁には奇妙な彫刻が施されている。小さな竜巻が、次第に変化して人を思わせる形になっていく……
その絵物語はどことなく禍々しい。


アイス・デーモンが封じられた水晶は、決して破壊してはならない。
彼らは幾千年にわたって恨みを募らせ、水晶から解放した者の体に乗り移ってしまうのだ。


まさか、この彫像が そ の 水 晶 で で き て い た などと、誰に予想できたというのか。
俺は、アイス・デーモンを解き放ってしまった!!!!!!!!!

(つづく)