ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ221→→→10:ダメ。ゼッタイ。:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



要塞内の廊下は意外なほど暖かい。
ここ数日で初めてカイ・マントのフードを取り、凍傷の心配も無く手袋を外すことができた。
やはり剣を握る感覚は素手の方が良いとしみじみ実感する。
アーチ型の天井になっている石の廊下は上り坂で踊り場まで続き、そこで別の通路が東へ延びていく。
等間隔に吊り下げられたミラール・ボウルの不気味な薄明かりが、壁面の彫刻の奇怪さを際だたせる。
踊り場まで進むと、アーチ通路の向こうに奇妙な光景が現れた。
小さな部屋に、毛皮の切れ端や陶器の破片が転がっている。数百年にわたって屑捨て場になっていたようだ。
通路の壁にあるレバーを操作すると、部屋の扉が開いたり閉じたりすることがわかった。
好奇心にかられて室内に入り、ガラクタをあさってみる。
10分ほど探ってナップザック ロープ を手に入れた―― 少々肩透かし気味だな。
しかしナップザック があるということは、所持品全部を失ってここに辿り着く選択肢も存在したということだろう。
………想像もしたくない展開ではあるが。


東の通路をさらに進みながら、俺はボナターに不意打ちをかける条件が揃ったと感じていた。
この地下の通路は明らかに放置されている。
イカヤ要塞を乗っ取ったばかりのボナターは、おそらくここからの侵入に気づかないだろう。
まさに絶好の機会なのだ。
かつての住人達の足跡で、床は磨り減っていた。
突き当たりにあった階段を登り、がらんとした広間を通り抜け、東西に伸びるアーチ型の通廊と出くわす。
道を選ぶ前に食事を取ろうと思い、そこで装備一式を橇から投げ捨てたことに思い至った。
そういや食料持ってないんだ……
こんな生物の気配も無い場所でカイの狩猟術も役に立たず。 体力点3点を失う
「ムゥーン。ひもじい喃」
愚痴を言っても始まらない。西の通路を選んで歩きだす。
5分も進まないうちに廊下は鋭く北へ折れ、前方の左手に大きな石の扉があった。
さっきの小部屋で仕組みを理解したので、壁のレバーで扉を開ける。
調子が悪く60センチしか開かない隙間に体を押しこむと、室内にはビンやフラスコが積み上げられていた。
ここもまた数百年近く使われてないらしい。
そして、テーブルの上には……様々な色の薬瓶が入った鞄が、整然と置かれている。
「ブフォッッ」
俺は鼻血を噴いた。
お宝の山がここここんなところにィィィ!!!
いかんせんクスリといえば俺。俺といえばクスリ。
むしろ俺の半分がクスリで出来ている感じ。もう半分は遊び心。
どうなのこの展開?俺を誘っているのか?いるのんか?ンンー?

(つづく)