ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

堂々の完結

【パラグラフ225→→→350:狼の帰還:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



その日の夕刻(ソマーランド出発から実に37日目)、視界にホルムガードの尖塔が現れた。
雲霞のごときダークロードの大軍に包囲されながらも、王都はなお持ち堪えている。
暗闇の中でも、街の灯が僅かに見える。
「今夜は都合よく月が出ていない。我々は速やかに入港し、夜明けとともに嵐に舞う枯葉のように敵陣に散らばっていくだろう」
「枯葉ではなく無数の矢のように、だろう?」
「はは、違いない」
『カルカーム号』の舳先に立ち、アクシム卿と軽口を交わす。
だが、既にホルムガードは壊滅的な打撃を受けていた。
昼夜を問わず、黒魔術によって生み出された火球が城壁の外から次々と放たれてくるためだ。
波止場付近は灰燼となり、懸命に消火にあたる人々にも限界が近づいている。
「カイ戦士が帰って来たぞ!!」
「ドゥレナー軍が間に合ったんだ!!」
港に響いた絶望の叫びは、入港したのがドゥレナーの艦隊だと知って歓声に変わった。



俺は一人、王都の正門に近い監視塔の頂上で夜明けを待つ。
曙光が緩やかに地平線から差してきた。
荒れ果てた平原には無数の塹壕が掘られ、何千何万もの黒い鎧が異形の甲虫のように身を潜めている。
まさに暗黒の軍勢。
その中央には、雲上にあるという巨人の楼閣のごとく聳え立つ、血で染め上げられた大天幕があった。
頭蓋骨の旗印は、この大軍を率いるダークロードの一柱、カーグの君主ザガーナのものだ。
ダークロードのうちでも最大の体軀と膂力。
全身に纏った、いかなる刃をも退ける龍の鱗。
その胴体からは、貪欲な龍の顎が無数の残忍な牙を剥いている。
ザガーナの目的は王都ホルムガードを破壊し、恨み重なる仇敵ウルナー王家を滅ぼすこと。
それは闇の半神たちの宿願であり、成し遂げた者は他のダークロードたちに対し、絶対の優位に立つことができるのだ。
確かに奴の目的はほぼ達成された―― かのように見えた。
だが、勝利は永遠に奴の手には入ることはない。
俺のこの手に、ソマースウォードが握られている限り。
黄金の刃を緩やかに音もなく抜き放ち、頭上高く掲げ、すべての思いを込めて―――


「 ――― 太 陽 よ !!! 」


一条の光が剣を捉え、黄金の焔が刀身全体に燃え広がった。
太陽――― カイのもとへ向かった魂たちが、再び光となって地上へと帰還したのだ。
万物を灼き尽くすその光は、むしろ温かく、そして懐かしく、眩しさに目を閉じながらも、涙が頬をつたった。
ソマースウォードに導かれるように、ザガーナの大天幕に向かい剣を構える。
俺の咆哮とともに、太陽の剣は灼けつくような黄金の輝きを解き放った。





数百年にわたり眠り続けてきたにもかかわらず、決して失われることの無かった焔。
ついに解き放たれたそれは、黎明の大気を切り裂き、荒れ果てた大地を引き裂いて走る黄金の大瀑布となった。
灼熱の焔は、まさしく光の速さで立ち塞がる全てを薙ぎ払いつつ、あやまたずザガーナの大天幕に到達する。
出現した巨大な光球は地上の太陽と化し、燃えさかる黄金の焔が一昼夜にわたり空を舐め尽くした。



怯えきった暗黒の軍勢は統制を失い、潰走し始めた。
不可能なこと――― 無敵の半神が影すらも残さず地上から灼き尽くされた――― が起こったのだ。
そこへ、ホルムガードの城門から雪崩をうって出撃したソマーランド・ドゥレナー両軍が掃討戦を開始する。
実に兵力の半数以上を失い、散り散りになった敵軍は、ダーンクラッグ山脈の方角に向かって闇雲に敗走していった。
ついに、祖国は勝利を手にしたのだ。



王都ホルムガードはダークロードの魔手から救われた。
だが、まだ俺個人の決着……カイ戦士の復讐は終わってはいない。
ローン・ウルフシリーズ第3巻【カルトの洞窟】の冒険が、ここに始まろうとしている。


【ローンウルフシリーズ第2巻 水上の炎 完】



【水上の炎】冒険結果 ローン・ウルフ 4人目(1度死亡)


能力値

・戦闘力点16(+8+2) ・体力点24(+2)

・金貨0枚(+ホルムガードに残しておいた分が11枚)




カイの教え

・擬装術 ・第六感 ・狩猟術 ・追跡術 ・念力移動 ・動物語



装備(武器 2つまで)

・ソマースウォード(戦闘力+8)

・幅広剣




ナップザック(8個まで)

・アレサーの薬(一時的に戦闘力+2)

・ラウンスパーの薬(体力+3) ・特別なラウンスパーの薬(体力+5)

・回復薬(体力+3)

・食料×3



特別な品物

・水晶の星型のペンダント

・兜(体力+2)

・盾(戦闘力+2)


→【第3巻 カルトの洞窟 へ】
(つづく)