ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

【パラグラフ100→→→5:ホルム湾の決戦:(死亡・3)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



甲板の傾いた旗艦を捨て、兵士たちが荒れ狂う海面に飛び込んでいく。
疲労も苦痛も知らぬ死者と激突したドゥレナー兵が、あちらこちらの船で激しい白兵戦を始めていた。
「ローン・ウルフ、何をしている!君も逃げるのだ!」
「逃げてどうなる!敵の司令官を倒すしか活路はない!このままでは総崩れだろうが!」
「馬鹿を言え!勇敢と無謀の見極めもできんのか!戦況も見えぬ若造が!!」
声を荒げたアクシム卿の一言で……俺はキレた。
「ここは退け、ローン・ウル……」
「やかましいッ! うっおとしいぜッ!!アクシム!!!」



もはや俺は逆上していた。見境などなかった。
肘鉄を食らわせてアクシム卿を振り払い、激情にまかせて船べりから跳ぶ……敵の旗艦、広々した甲板の直中へ。
腐った甲板を突き破ってニ層下まで落下する。
怪我は無かったが、船倉には耐え難い腐臭がたちこめ、 体力点を 1 点 失う
さらに立ちあがり状況を確認する間もなく、4体のゾンビが襲いかかってきた。
こんな時に限って大量に雑魚が出現。
時代劇のお約束かッつーのよォォ。
こっちは敵の司令官を速攻でブッ殺さなきゃならねーってのによォォ。
「……おめーらの『ゾンビ』って名前はよォーッ……コンゴ語で死者の魂を意味する『ンザンビ』からきている……」
俺の手があくまで緩やかに剣の柄へとかかる。
「だが語源が魂ならよォーッ!体が腐ってるオメーらはゾンビじゃねーだろ――― がッッ!!クソッッ!!ナメやがって!!動く腐乱死体って呼べよッ!!!クソがッッ!!!超イラつくぜェーッ!!!! ナメてんのかッッ!!!!!」
ついに鞘走った太陽の剣が、俺の怒りに応じて黄金の焔をあげた。



ゾンビの船乗りたち 戦闘力点13 体力点16
ソマースウォードの威力により、敵の失う体力点は2倍となる。ゾンビに念撃は通用しない。


こいつらが甦った死者ならば。
まさにソマースウォード こそ、『死』に引導を渡す切り札だった。
黄金の一閃でゾンビは肉塊と化し、船倉の床にブチ撒けられた。1点のかすり傷さえ腹立たしい雑魚だ。
と、カイの第六感が警告を発した。
倉庫の向こうから、恐るべき力を持った存在が近づいてくる。
澱んだ空気の中でソマースウォード を構え直し、俺は船倉の扉へと走る。
ついに扉が壊され、黒い剣を携えて『死』が踏み込んできた。



―― ヘ ル ガ ス ト だ ッ ッ !!!

(つづく)