ゲームブック・リプレイ:ローン・ウルフシリーズ

ラガドーンに程近い海に投げ出される

【パラグラフ197→→→41:暴風圏:(死亡・2)】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



夜明けとともに、嵐が船に襲いかかってきた。
船員の叫びも叩きつけるような嵐に全てかき消され、みるみる船室の床にまで海水が流れこんでくる。
……沈没するのではないか。
咄嗟にそう思い、揺れる船室の壁に叩きつけられながら装備をまとめて甲板へ走った。
ハッチを上げて外に出た途端、視覚と聴覚を暴風によって奪われる。
よろめいた俺を強い腕がつかんだ。ケルマン船長が何かを怒鳴り、船室を指さす。
その直後、雷鳴が目を眩ませ、そのまま……



一直線に落ちた雷が『グリーン・セプター号』のマストを引き裂いた。



耳をつんざく轟音に、慌てて甲板に伏せる。
風の不気味な唸りが頭上から迫り、見上げると真っ二つに折れたマストが倒れかかってくるところだった。
指した乱数表は6……折れたマストが甲板で生き物のように弾む。
その勢いに押されるまま、俺は甲板で頭をしたたかに打ち、海へ投げ出される。
体力点2点を失い、危うく気絶しかかった。
荒れ狂う海中でどうにか鎖かたびら を脱ぎ捨て、水面へ浮上する。
流れてきたハッチカバーに必死にしがみつき、為す術もなく波間を漂う俺の前で、『グリーン・セプター号』の甲板が裂けた。
覚えているのはそこまでだった。


ようやく意識が戻ってきた時、嵐は去っていた。
傾いた陽射しが、既に夕刻であることを告げている。
『グリーン・セプター号』の痕跡はどこにもない。
遠くに漁船が、さらに先の水平線近くにワイルドランドの海岸が見える。
漁船に向けて必死にカイ・マントを振り続けると、幸運にも船が近づいてきてくれた。
漁師達の手で、這々の体で小舟に引き上げられる。
体温を失い寒さに震える俺に毛布と飲み物が与えられ、漁船の船長がラガドーンに着くまで少し眠ってはどうかと勧めてくれる。
その言葉が、ようやく麻痺していた感覚の底に澱のように溜まっていた疲労を意識させた。

・船長の申し出を受けるなら、体 力 点 を 1 点 取 り戻し 、194へ。
・眠らないで嵐のなかを生き延びた人がないか探すほうがよければ、251へ。


(つづく)