ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

敵紹介03クラーン 輸送も攻撃もこなす

【パラグラフ184→→→120:クラーンの襲撃】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



朝。
馬車の上を舞うクラーンの鳴き声で目が覚めた。一気に全身が緊張する。
外は雲ひとつない快晴で、はるか先にドゥームオオカミの一群――奴らも組織されたダークロードの手先だ――がみえた。
明らかにこの馬車が狙われている。
また森に逃げこむ手も考えたが、馬をここで手放すのもおしい。馬車から切りはなした一頭にまたがり、全力で走りだす。
迫りくるドゥームオオカミの包囲網。怯える馬に拍車をいれ、槍を構えて突撃していく。
敵はドゥームオオカミにまたがった邪悪な乗り手、ジャークだ。
「体力点3点のクソ力、舐めんじゃねーぜッッ!!」
破れかぶれの雄叫びをあげ、楳図かずお漫画のような形相で突進して一人の頭をたたきつぶす。いなないた馬が前足をふりあげ、二頭のオオカミを蹴り倒す。
と……奇跡のように道が開け、戦闘もせず俺は包囲を突破していた。
だがその理由にすぐ気づく。
ジャークは、俺の始末を空飛ぶクラーンにまかせ、自分たちは残された馬車を襲いにいったのだ。
馬を駆って街道を逃げる俺の背後から、みるみる黒い翼の影が大きくなってくる。
クラーンが前肢をあげ全力でつかみかかってきた瞬間、選択肢が示された。



・クラーンが飛びかかってきた瞬間、馬から飛び降りるべきか。
・全速力で森へ駆け込むか。
・頭を低くして運を天に任せ、かまわず街道を走りつづけるか。


有翼獣クラーンは、いわばプテラノドンのような生き物だ。
兵の運搬能力だけでなく、戦闘力も充分高い。
……森へ逃げるの一択だろうな、どう考えても。ここで戦闘に突入したら俺、きっと死ぬし。

(つづく)