ゲームブック・リプレイ:ローンウルフシリーズ

テンパッたローンウルフ(イメージ図)

【パラグラフ272→→→121:驚愕、昇天、転生、ただいまー】
プレイの形式上、ゲーム内容のネタバレ満載です。あしからずご了承ください。



やりを手にしばらく歩く。
見覚えのある道だと気がついた。この先は50年近く炭焼きをつづける人々の集落、フォッグウッドだ。
だが、やはりというか、たどりついた開拓地には名前の由来である炭焼きの煙ひとつなく、不気味に静まり返っていた。
選択肢は2つ。

・追跡術を身につけていれば、134へ。
・追跡術を身につけていなければ、武器をかまえ、そっと小屋に近づけ。305へ。

不思議なことに集落を迂回する選択肢がない。
とりあえず追跡術を使い周囲を調べる。
案の定ジャークらの足跡が見つかった。村を迂回するか踏み込むか、選択を迫られる。
一見ワナっぽいが、本当にワナがあるなら最初から迂回する選択肢があるはず、ここはブラフだ、踏みこめ! 
(むろん、集落で薬が見つかればという淡い期待もある)。
小屋のなかをのぞく……目に飛び込んだのは、背にやりの刺さった炭焼き職人の死体。そして粉々になった家具。
破壊と憎悪に悦びを感じるジャークの仕業だ。唯一の収穫はや り だけだった……
……え、や り ??




「なァァァンだってェェェェェェェ!!!!!!!!!!!」




こんな簡単にやりが手に入るのに、俺は、俺は体力点を8点も失って、ジャークと戦っていたんですかァァァ!?
阿呆にも程がある。どういう話だよ。とんだ茶番じゃねーか!
クソッ、クソッ!!
集落を離れ、怒りと腹立ちに目を血走らせて歩く。
なってこった、やっちまった、金貨いらねーから体力点かえせクソ……
遠くの古木に止まっているカラスの姿も目に入っていなかった。
「動物語で話しかけるか」の選択肢も、わざわざ挿入された小さなカット絵も気にならない。
そもそも動物語なんか持ってやしないのだ。
飛び立ったカラスを尻目に、ぼんやり道を歩いていく。
だが、このとき俺は思い出すべきだった。




ソマーランドでは、カラスは不吉を運ぶ鳥なのだということを。





ようやく違和感を感じたのは、これみよがしに赤い服で道の真ん中に立つ男と、その手に止まったカラスを見かけたときだった。
なぜ、こちらに背を向けているのか。
どうして、戦火のただなかで、ぼんやりこの男は立ち尽くしているのか。
ブーツの底から、寒気が、這い上がってきた。




・その男に話しかけたければ、342へ
・注意深くその男に近づくなら、302へ
・武器を取り、攻撃する方がよければ、283へ。

(つづく)