ゲームブックの題材(テーマ)と内容

書店を席巻し、ブームとなったゲームブック。ならどんな内容の小説が多かったの? と考えると、実はかなり偏っていることに気づきます。
発端となった『火吹き山の魔法使い』とファミコンゲームブック、これが、その後の路線を決めてしまうのです。
剣と魔法の世界。
つまるところ、良くも悪くもこれにつきます。
ほとんどの作品はファンタジー世界が舞台。魔法があり剣士や騎士がいて、モンスターが人々をおびやかす。感覚的には過半数がこの手の物語です。王道であれケレンであれ、ファンタジーはつねにゲームブックの人気の中心でした。
そして、これが実はゲームブック衰退の一つの原因でないかと思えます。
どれもこれも版で押したようにファンタジーで剣と魔法のドラゴンのバトりまくり。
子供向けなんだからそれでいいんジャネ?と言われりゃそれまでですが、でもファンタジーばかりでは、いずれ読み手がゲームブックから「卒業」せざるをえなくなるんですね。今だって絶えずファンタジー小説を買ってきて読んでるリーマンなんて探す方が難しいわけです*1
ハリポタ位のメガヒットを飛ばすファンタジー小説だって、大人がそういつもいつも読んでるわけじゃないですしね*2
ゲームブックの最大の売りは「小説」なんだから、ファンタジー縛り、鉛筆とサイコロと体力ポイントの計算必須なシステム縛りを外してもうちょい自由に作品作ればよかったと思うんですよ。
推理小説やサスペンスのように、ゲームブックと相性のいいジャンルはたくさんあったんですから。
ま、滅んだもの*3への愚痴ですが。


それ以外でどんなものがあったの? というと、例えば推理小説をテーマにした現代ものや、SFなど。この辺は当時PCで流行ったインフォコム社のゲームをゲームブック化したJICC出版(宝島)のアドベンチャーノベルスなどがあげられると思います。
また、少々変り種でアダルト向けのセクシーゲームブックや、少女向けの恋愛をテーマにしたペパーミントゲームブックなどというシリーズなどもありました(こちらは双葉社など)。
ただ、これらはあまり大きくは発展しなかったようです。それはそれで実に残念に思います。

*1:個人的主観から。というか探しにくいですよね

*2:あくまで個人的主観です…朕はいつもいつも読んでるわけですが

*3:語弊があるかな…まあ言葉の綾と言うものです