ラヴクラフトの遺産(ISBN:4488523110)

HPL御大

(F・ポール・ウィルスン、ブライアン・ラムレイ他、創元推理文庫
HPL御大の生誕100周年記念アンソロジー
御大の流れを汲むパルプホラーのアンソロジーなので、安直にクトゥルフ神話とかを期待すると肩透かしを食うかも。

  • 家庭に忍び込む実践魔術のハウツー本『間男』
  • 不死性について語る老人『吾が心臓の秘密』
  • 400年近く前の遺跡から発掘された真新しい死体『シェークスピア奇譚』
  • 宇宙飛行士の体内に寄生した知性を有するポリープ状の生物『大いなる“C”』
  • プラスチックの塊に閉じ込められた小さな使い魔『忌まわしきもの』
  • ハイチ島に現代も息づく呪術『血の島』
  • ニューイングランドではありきたりかも知れない狂信者の恐怖『霊魂の番人』
  • サディストのドイツ系文学者に起こった人格転移『ヘルムート・ヘッケルの日記と書簡』
  • 夢幻境に棲む女食屍鬼の悲哀『食屍姫メリフィリア』
  • アメリカ中西部に残るおぞましい口承伝説『黄泉の妖神』
  • 憧れの御大との対面、そして少しの戦慄『ラヴクラフト邸探訪記』
  • 薄汚れた田舎町で今も瞬き続ける旧支配者の視線『邪教の魔力』
  • アメリカ南部の荒野に蠢くジャージーデビルの足跡『荒地』


ラヴクラフト邸探訪記』は商業的成功を収めた齢100歳(!)のHPL御大の自宅に招かれたホラー作家の体験談。
無名時代には一文無しだった御大も、今や印税でウハウハな生活。
土曜の朝のアニメ『クトゥルー小僧』も絶賛放映中。
大体ですがこんな感じ。↓


『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』!
知ってますとも!あれ、大ファンですよ、ボク!
コズミック・ホラーていうんですか?
生理的にキモチ悪いシーンもあるけど、せまってくるようなスリルと、本当にいるような登場人物がいいですよね?


ところで君達、『おもしろい小説』というのは、どうすれば書けるか知ってるかね?
『リアリティ』だよ!『リアリティ』こそが作品に生命を吹き込むエネルギーであり『リアリティ』こそがエンターテイメントなのさ!
『小説』とは、想像や空想で書かれていると思われがちだが、実は違う!
自分の見た事や、体験した事、感動した事を書いてこそおもしろくなるんだ!


残酷!?ど素人の小僧がこの『HPL』に意見するのかねッ!


このHPLが、金やちやほやされるために、小説を書いてると思っていたのかァ―――ッ!!
ぼくは、『読んでもらうため』に小説を書いている!
『読んでもらうため』ただそれだけのためだ!
単純なただひとつの理由だが、それ以外はどうでもいいのだ!


いい話だなあ〜それに…実にスゴイ体験させてもらったよ。うれしいなあ〜。
こんな体験…めったにできるもんじゃあないよ。これを作品に生かせば……。グフフフ…
と…得したなあ……。プロヴィデンスに引っ越して来てよかったなあ〜……


方向性としては間違っていないような。